設備の用語集50|電気・照明・空調・給排水・通信の基本

設備の用語集50|電気・照明・空調・給排水・通信の基本

オフィスの電気・照明・空調・給排水・通信は、完成すると天井や床の中に隠れてしまう部分です。しかし、コンセントが足りない、会議室だけ暑い、Wi-Fiがつながりにくいといった「入居後の不満」の多くは、この設備の計画で決まります。

ここでは、移転やレイアウト変更の打合せでよく出てくる設備用語を50語に絞って解説します。言葉の意味がわかると、ビル側の設備条件や工事会社の説明を読み解きやすくなり、必要な工事と費用の判断がしやすくなります。

電気・電源の用語

用語 意味
分電盤(ぶんでんばん) 幹線から来た電気を各回路に分ける盤で、主幹ブレーカーと回路ごとの分岐ブレーカーが収まっています。テナント区画ごとに設置されることが多く、空き回路の有無が増設工事のしやすさを左右します。
分岐回路 分電盤から各コンセントや照明へ枝分かれした電気の通り道です。一般的なコンセント回路は1回路20Aで、100Vなら約2,000VAが上限の目安です。同じ回路に機器を集中させるとブレーカーが落ちる原因になります。
専用回路 特定の機器だけにつなぐ回路です。複合機、電子レンジ、電気ポット、サーバー、大型モニターなど消費電力が大きい、または止めたくない機器に設けます。レイアウト段階で機器の位置を決めておくことが大切です。
VA(ボルトアンペア)とW(ワット) VAは電圧×電流で表す見かけの電力、Wは実際に消費される電力です。機器によって両者に差があり、電気容量の計算はVAで行うのが一般的です。カタログ値を見るときはどちらの単位か確認します。
単相3線式(100V/200V) 3本の電線で100Vと200Vの両方を取り出せる配電方式で、オフィスの照明・コンセントに広く使われています。一部の大型複合機や業務用機器、電気温水器などは200Vを必要とする場合があります。
漏電遮断器(ろうでんしゃだんき) 電気が本来の経路から漏れたことを検知して回路を自動で遮断する装置です。感電や漏電火災の防止に役立ちます。給湯室など水まわりのコンセント回路には設置が求められることが多い装置です。
接地(アース) 機器の金属部分などを大地とつなぎ、漏電時に電気を地面へ逃がす仕組みです。水まわりの機器や複合機、サーバーラックなどでは接地極付きコンセントを使うのが一般的で、ノイズ対策にも関係します。
電気容量(VA/㎡) ビルがテナントに供給できるコンセント用電力を床面積あたりで示した値です。一例として40〜60VA/㎡程度が多く見られますが、ビルにより異なります。サーバーや機器が多い場合は増量工事の可否を確認します。
UPS(無停電電源装置) 停電や瞬間的な電圧低下の際にバッテリーから電力を供給する装置です。サーバーやネットワーク機器を安全に停止させる時間を確保します。給電方式によって価格と保護性能が異なり、バッテリーは定期交換が必要です。
床コンセント・OAタップ OAフロアの下に配線し、床面や机まわりで電源を取り出す方法です。デスクの島ごとに配線をまとめて立ち上げることが多く、レイアウト変更に対応しやすい一方、取り出し位置の計画が使い勝手を左右します。
ここがポイント

電源の打合せでは「何Wの機器を、どこに、何台置くか」を一覧にしておくと、回路数や専用回路の要否を判断しやすくなります。とくに複合機や給湯室の家電は消費電力が大きいため、配置が決まった段階で早めに伝えるのがおすすめです。

照明の用語

用語 意味
照度(しょうど) 机上などの面に届く光の量で、単位はルクス(lx)です。法令上の最低基準とは別に、照明の推奨基準では事務室で750lx程度が一つの目安とされます。画面作業中心の職場ではまぶしさとのバランスも考えます。
色温度(いろおんど) 光の色味を表す値で、単位はケルビン(K)です。数値が低いほど暖かいオレンジ系、高いほど青白い光になります。執務室は昼白色(5,000K前後)、ラウンジは電球色(3,000K前後)など使い分けるのが一般的です。
演色性(Ra) 照明の下で物の色がどれだけ自然に見えるかを表す指標で、100に近いほど自然光に近い見え方になります。一般的なオフィスではRa80以上が目安とされ、色を扱う業務や受付・会議室ではより高い値が選ばれることもあります。
全光束(ルーメン) 照明器具から出る光の総量で、単位はルーメン(lm)です。明るさの目安になり、消費電力1Wあたりの全光束(lm/W)で省エネ性能を比べます。器具の数や配置を決める照度計算の基本となる値です。
UGR(不快グレア評価値) 照明器具のまぶしさによる不快感を数値化した指標で、値が小さいほどまぶしさが少なくなります。一般的な事務作業の空間では19以下が目安とされ、モニター作業が多いオフィスの器具選定で参考にされます。
ベースライト 部屋全体を均一に照らす主照明で、オフィスでは天井に直付けや埋込で設置する直管形・スクエア形のLED器具が一般的です。ビル標準で設置されていることが多く、間仕切を新設すると移設や増設が必要になります。
ダウンライト 天井に埋め込んで真下を照らす小型の照明です。会議室や受付、廊下、ラウンジで雰囲気づくりに使われます。器具の口径や配光角によって光の広がりが変わるため、空間の用途に合わせて選びます。
タスク・アンビエント照明 空間全体を照らすアンビエント照明を控えめにし、手元はデスクライトなどのタスク照明で補う考え方です。省エネとまぶしさの軽減を両立しやすく、個人ごとに明るさを調整できる点も利点です。
調光・調色 照明の明るさを変えるのが調光、光の色味を変えるのが調色です。会議室で映像を映すときに暗くしたり、時間帯で光色を変えたりできます。対応する器具と制御装置の組み合わせが必要になります。
照明制御センサー 人の有無を検知して点灯・消灯する人感センサーや、窓からの光量に応じて明るさを抑える明るさセンサーなどがあります。トイレや倉庫、窓際の照明で使うと消し忘れ防止や省エネにつながります。

空調・換気の用語

用語 意味
天井カセット形エアコン 天井に埋め込み、パネル面から四方向などに吹き出す室内機です。オフィスで広く使われ、床や壁を使わずに済みます。間仕切を新設すると吹出しが偏ることがあるため、室内機の位置と部屋割りの関係を確認します。
ビル用マルチエアコン 1台の室外機に複数の室内機をつなぐ空調方式で、中小規模のオフィスビルで多く採用されています。エリアごとに運転・停止できる一方、室外機の能力の範囲内で使う必要があり、増設には制約があります。
セントラル空調(中央熱源方式) 建物の機械室で冷温水などをつくり、各階の空調機へ送る方式です。大規模ビルに多く、ビル全体で効率よく運転できます。テナント単位での細かな温度調整や運転時間の自由度は個別空調より低い傾向があります。
個別空調 テナントやエリアごとに空調機の運転・温度設定ができる方式です。残業時や休日も必要な場所だけ運転できます。リモコンの数と操作できる範囲が、間仕切後の部屋割りと合っているかを確認しておくことが大切です。
空調ゾーニング 日射や人の密度、機器の発熱などの条件ごとに空調の系統を分けることです。窓際のペリメーターと内側のインテリアで分けるのが一般的です。会議室やサーバー室は条件が大きく異なるため、別系統が望まれます。
冷房能力(kW) 空調機が1時間あたりに取り除ける熱量を示す値です。必要な能力は床面積だけでなく、人数、OA機器の発熱、日射で変わります。会議室を新設して人が集中すると能力が不足しやすく、増設の検討が必要になります。
全熱交換器 換気で外に出す空気から熱と湿気を回収し、取り入れる外気に移す換気装置です。冷暖房の負荷を減らしながら換気できます。オフィスビルで広く採用されており、間仕切後も各部屋に給気と排気が行き届くか確認します。
換気量(CO₂濃度) 室内に取り入れる外気の量です。一般的な目安として1人あたり毎時30㎥程度とされ、室内のCO₂濃度1,000ppm以下が管理の目安として使われます。会議室は人が集中するため換気不足になりやすい場所です。
吹出口・吸込口 空調や換気の空気が出る口と戻る口です。天井のアネモスタットやライン形などがあります。間仕切の真上にかかると移設が必要になり、席の真上に吹出口があると冷えや不快感の原因になるため、レイアウトと合わせて確認します。
時間外空調 ビルが定める基本の運転時間以外に空調を使うことです。セントラル空調のビルでは事前申請や別料金が必要な場合があります。夜間や休日の利用が多い会社は、入居前に条件と費用を確認しておくと安心です。
ここがポイント

間仕切を新設すると、照明・空調・換気・感知器などの天井設備に影響が出ます。部屋割りを決める前に天井の設備配置を確認すると、移設や増設の工事を最小限に抑えやすくなります。

給排水・衛生の用語

用語 意味
給水引込(給水分岐) ビルの給水管からテナント区画内へ水を引き込むことです。給湯室や手洗いを新設する場合、近くに分岐できる配管があるかで工事の規模が大きく変わります。分岐位置はビル側の指定に従うのが一般的です。
排水管(汚水・雑排水) トイレからの排水を汚水、流しや手洗いからの排水を雑排水と呼び、建物によっては系統を分けています。テナント工事では既存の排水管へ接続するため、接続できる位置と系統の確認が最初のステップになります。
排水勾配(はいすいこうばい) 排水を自然に流すための配管の傾きです。一例として細い管では1/50程度、太い管では1/100程度が目安とされます。排水管までの距離が長いほど高低差が必要になり、流し台の位置を決める大きな条件になります。
床上げ(ゆかあげ) 排水勾配を確保するために床の一部を高くすることです。給湯室を排水管から離れた位置に設ける場合などに必要になります。段差ができるため、つまずき防止や車いす利用への配慮も合わせて検討します。
排水ポンプアップ 勾配で排水できない場合に、ポンプで排水を押し上げて排水管へ送る方法です。給湯室の配置の自由度は上がりますが、電源や点検口が必要で、故障時の対応や騒音も考慮します。ビルによっては認められないこともあります。
電気温水器(貯湯式) タンクにお湯を貯めておく給湯器で、給湯室の流し台下に置く小型のものが多く使われています。容量と電源の電圧を確認して選びます。必要なときにだけ加熱する瞬間式に比べ、待機中の電力がかかる点に注意します。
止水栓(しすいせん) 器具ごとや系統ごとに水を止めるためのバルブです。水漏れ時や器具交換の際に使います。テナント区画の給水を止められる位置を把握しておくと、トラブル時の被害を小さくできます。
防水処理(防水パン) 水を使う場所の床に水を通さない層をつくったり、受け皿を置いたりすることです。給湯室の床下や下階への漏水を防ぎます。OAフロアの上に水まわりを設けるときは、とくに慎重な計画が必要です。
グリーストラップ 厨房の排水から油脂や食べ残しを分離して、排水管の詰まりを防ぐ装置です。社員食堂や本格的なカフェキッチンを設けるときに必要になることがあります。定期的な清掃が欠かせず、設置場所にも制約があります。
子メーター(個別メーター) テナントごとの使用量を計るために設置するメーターです。水道や電気の料金をビル全体の使用量から按分するか、子メーターで実費精算するかは、ビルや契約によって異なります。

通信インフラの用語

用語 意味
MDF・IDF MDFは建物に引き込んだ通信回線を集約する主配線盤、IDFは各階に置く中間配線盤です。回線の引込みや電話の配線はここを経由します。入居前にどの盤を経由して自社区画へ回線が届くかを確認します。
EPS(電気配線シャフト) 各階を縦に貫く電気・通信配線用のスペースです。分電盤や通信の中継設備が置かれることが多く、ビル管理者が鍵を管理しています。回線工事や配線の追加では、ここへの立ち入りの手続きが必要になることがあります。
光回線の引込み 通信事業者の光ファイバーを建物内に引き込むことです。建物までの経路やビルの許可が必要で、申込みから開通まで数週間から1か月以上かかることもあります。移転では早めの申込みが欠かせません。
情報コンセント LANケーブルや電話線をつなぐための壁や床の差込口です。席や会議室の配置に合わせて数と位置を決めます。無線LANが中心でも、複合機やアクセスポイント、会議用機器のために有線の口は必要になります。
LANケーブルのカテゴリ LANケーブルの性能を表す規格で、Cat5e、Cat6、Cat6Aなどがあります。数字が大きいほど高速通信に対応します。一例として、新設では将来の高速化を見込んでCat6A以上が選ばれることが多くなっています。
パッチパネル 各席や部屋から集まったLANケーブルを、ラック内で端子に整理して接続する盤です。どの差込口がどの席につながっているかを管理しやすくなり、席替えや機器の入れ替え時の配線変更が簡単になります。
ネットワークスイッチ 複数のパソコンや機器をLANでつなぎ、データを適切な相手に届ける機器です。ポート数、通信速度、PoE給電の有無、管理機能の有無などで選びます。台数や配置は配線計画とセットで考えます。
PoE(Power over Ethernet) LANケーブル1本でデータと電力を同時に送る技術です。アクセスポイントや監視カメラ、IP電話などで電源工事を減らせます。規格によって供給できる電力に差があるため、機器の消費電力とスイッチの対応規格を確認します。
Wi-Fi規格 無線LANの世代を示す規格で、Wi-Fi 6、6E、7などがあります。新しい規格ほど高速で同時接続に強く、6Eと7では混雑しにくい周波数帯も使えます。パソコンや端末側の対応状況も合わせて検討します。
先行配線(せんこうはいせん) 内装工事の段階で、天井内や壁内、OAフロア下に電気やLANの配線をあらかじめ通しておくことです。仕上げ後に配線するより見た目がよく、手戻りが少なくなります。将来の増設を見込んだ予備配線も検討します。

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