オフィスの必要面積は1人何㎡?坪数の計算方法と、共用スペースの考え方

オフィスの必要面積は1人何㎡?坪数の計算方法と、共用スペースの考え方

移転や増床を考えるとき、最初に決めなければならないのが「何坪の物件を探すか」です。広すぎれば賃料が無駄になり、狭すぎれば入居後すぐに手狭になります。

この記事では、よく言われる「1人あたり〇坪」という目安の根拠と、実際に必要な面積を用途ごとに積み上げて計算する方法を解説します。

後半では、契約面積と実際に使える面積の違い、30人規模を例にした試算、業種別の傾向、物件比較のチェックリストまで踏み込んで解説します。

結論

執務席だけなら1人あたり5〜6㎡、会議室・受付・収納・通路などの共用部分を含めると8〜12㎡(約2.5〜3.5坪)が目安です。正確に見積もるには、執務・会議・受付・収納・リフレッシュの各エリアの面積を積み上げ、通路分として2〜3割を加えます。

「1人あたり〇坪」の目安と注意点

オフィスの面積は「1人あたり2〜3坪」とよく言われます。ただしこれは、執務席・会議室・受付・通路などをすべて含めた平均値です。会議室を多くとりたい会社、来客が多い会社、書類や在庫の多い会社では、同じ人数でも必要な面積が大きく変わります。

考え方 1人あたり面積 向いているケース
コンパクト 6〜8㎡ 会議室は少なめ、書類が少ない、外出の多い営業中心
標準 8〜12㎡ 一般的な事務所。会議室・受付・収納をひととおり備える
ゆとり 12〜15㎡以上 ラウンジや多目的スペース、役員室を設ける

用途ごとに積み上げて計算する

より正確に見積もるには、エリアごとの面積を足し合わせます。

エリア 目安
執務席 1席あたり4〜6㎡(デスク+椅子の引きしろ+島の間の通路)
会議室 1人あたり2〜3㎡(6人用なら12〜18㎡程度)
受付・応接 受付カウンター周りで6〜10㎡、応接室1室で10〜15㎡
収納・倉庫 書類量(ファイルメーター)から収納台数を出し、前面の作業スペースを加える
リフレッシュ 在籍人数の1〜2割が同時に使える広さ
通路・その他 上記の合計に2〜3割を加える
ここがポイント

柱の多い物件や、細長い・L字形の物件は、同じ面積でも有効に使える部分が減ります。図面上の面積だけでなく、実際に家具を置いた場合の席数で比較しましょう。

フリーアドレスの場合の考え方

フリーアドレスでは、在籍人数ではなく実際に席を使う人数(出社率のピーク)で座席数を決めます。ただし、空いた分の面積をすべて削るのではなく、会議室や集中ブース、ロッカーなど「席以外の場所」に振り分けるのが成功のコツです。

  • 座席数 = 在籍人数 × 出社率のピーク + 1〜2割の余裕
  • 個人ロッカー:在籍人数分
  • 集中ブース・Web会議ブース:在籍人数の5〜10%程度

将来の増員をどう見込むか

移転後2〜3年の増員計画を必ず確認しましょう。増員が見込まれる場合は、最初から席を詰め込まず、ラウンジや打ち合わせスペースなど、後から席に転用できる場所を用意しておくと、次の移転までの期間を延ばせます。

  • 増員分の席を「予備席」として最初から配置しておく
  • 可動式の家具で、打ち合わせスペースを執務席に転用できるようにする
  • 収納は可動式にして、レイアウト変更に対応しやすくする

契約面積と「実際に使える面積」は違う

物件資料に書かれた面積が、そのまま家具を置ける面積とは限りません。面積の測り方や、契約面積に何が含まれているかによって、実際に使える広さは変わります。物件を比較するときは、数字の前提をそろえることが重要です。

確認項目 内容 影響
壁芯か内法か 壁の中心線で測るか、壁の内側で測るか 壁芯面積は内法面積より大きく表示される。壁や柱の厚みの分、実際に使える面積は小さくなる
共用部の按分 廊下・トイレ・給湯室などの共用部分を契約面積に含めるか 共用部を按分して含める物件では、専有部分が見た目より小さくなる
柱・梁型・PS 区画内の柱や配管スペース 面積には含まれていても、家具を置けない部分になる
窓際・空調機まわり 窓台の出っ張りや床置き空調機 壁際に家具を寄せられず、有効面積が減る
ここがポイント

同じ「50坪」の物件でも、柱の数や形状によって配置できる席数が数席単位で変わることがあります。候補物件が絞れた段階で、簡易レイアウトを描いて席数で比較するのが確実です。

30人規模のオフィスで試算してみる

考え方を具体的にするため、在籍30人、会議室2室、受付あり、書類はやや多めという標準的な事務所を想定して積み上げてみます。数値はあくまで考え方を示すための目安です。

エリア 前提 面積の目安
執務席 30席×1席あたり約5㎡ 約150㎡
会議室 6人用×1室、4人用×1室 約25〜30㎡
受付・応接 受付カウンターと簡易な待合 約8〜10㎡
収納・倉庫 書類用キャビネットと備品庫 約15〜20㎡
リフレッシュ 在籍の1〜2割が同時利用 約10〜15㎡
小計 約210〜225㎡
通路・その他 小計の2〜3割 約40〜70㎡

合計すると約250〜295㎡、坪に換算すると約75〜90坪、1人あたりでは約8〜10㎡となり、冒頭の「標準」の範囲に収まります。ここから、会議室を増やしたい、フリーアドレスで席数を減らしたい、といった方針に合わせて増減させていくのが実務的な進め方です。

業種・働き方で変わる面積の傾向

必要面積を大きく左右するのは、人数よりも「何をどれだけ置くか」「どのように働くか」です。業種や働き方ごとの傾向を知っておくと、目安の数字をどちらに寄せるべきか判断しやすくなります。

業種・働き方 面積が増えやすい要素 面積を抑えやすい要素
営業中心 来客用の応接・商談スペース 在席率が低く、席数を絞りやすい
士業・経理系 書類保管量が多い 電子化が進めば収納を削減できる
設計・クリエイティブ 大型モニター、図面・サンプルの保管、打合せスペース 作業スペースを共用化すると効率化できる
IT・開発 機材置き場、集中ブース ノートPC中心ならデスクを小さくできる
コールセンター 休憩室、ロッカー 席の密度を高くしやすい
ここがポイント

ヒアリングでは人数だけでなく、来客の頻度、書類の量、会議の回数と人数、在席率を合わせて聞き取ると、面積の根拠が説明しやすくなります。

よくある見積もりの失敗と対策

  • 現在の面積を基準にしてしまう:今のオフィスが手狭なのか余裕があるのかを評価せずに同じ面積で探すと、不満がそのまま引き継がれる。現状の不満点を先に洗い出す
  • 収納量を見込んでいない:移転時に書類を減らす前提で計画したものの、実際には減らせずに執務エリアを圧迫する。移転前に文書の廃棄・電子化のルールを決めて実行する
  • 会議室を後から追加する:入居後に会議室不足が判明し、執務エリアを削って造作するとコストも工期もかかる。会議の実態(回数・人数・時間帯)を事前に調べる
  • 来客動線を考えていない:受付から会議室までが執務エリアを通過する配置になり、セキュリティや情報管理上の問題が生じる。区画形状と入口位置を合わせて検討する

面積が足りないと気づくのは、たいてい入居後です。計画段階で「どこまで削れるか」より「何が不足すると困るか」を先に確認しておくと、失敗を防げます。

物件比較のチェックリスト

  1. 契約面積の測り方(壁芯・内法)と共用部の按分の有無を確認したか
  2. 区画の形状(整形・細長い・L字)と柱の位置を図面で確認したか
  3. 簡易レイアウトを描き、必要な席数・会議室数が確保できるか確認したか
  4. 入口の位置と、受付・会議室・執務エリアの配置関係が無理なく成立するか
  5. 床の荷重、OAフロアの有無、天井高、電気容量など、設備面の条件を確認したか
  6. 将来の増員分を、同じ区画内または隣接区画で吸収できるか
  7. 原状回復の範囲や、入居時に必要な内装工事の範囲を確認したか
ここがポイント

面積あたりの賃料だけで比較すると、有効面積の小さい物件が割安に見えることがあります。「1席あたりのコスト」に置き換えて比較すると、実態に近い判断ができます。

面積を決めるまでの進め方(ステップ)

必要面積は、一度の計算で決まるものではありません。社内の要望と物件の条件をすり合わせながら、段階的に精度を上げていくのが実務的です。

  1. 現状把握:現在の面積、在籍人数、席数、会議室の数と稼働状況、収納量を調べる
  2. 要望の収集:部署ごとに不足しているもの、増やしたい機能、将来の増員計画を聞き取る
  3. 概算:本記事の目安を使って、エリアごとの面積を積み上げ、必要面積の幅(下限〜上限)を出す
  4. 物件探し:必要面積の幅に収まる物件を候補に挙げる
  5. 簡易レイアウト:候補物件ごとに席数・会議室数が確保できるかを図面で確認する
  6. 確定:コスト、立地、条件を総合して物件と面積を決める
ここがポイント

概算の段階では、面積を1つの数字ではなく「下限と上限の幅」で持っておくと、物件探しの選択肢が広がります。下限は「これ以下だと業務が回らない」、上限は「予算内で理想を実現できる」面積と考えるとわかりやすくなります。

よくある質問

Q. 在宅勤務を取り入れている場合、面積はどう考えればよいですか?

在席率を調べたうえで、ピーク時の出社人数を基準に席数を決めるのが一般的です。ただし、席数を減らした分を会議室やWeb会議用ブース、コミュニケーションスペースに振り向けるケースが多く、総面積がそれほど減らないこともあります。

Q. 坪と㎡はどう換算すればよいですか?

1坪は約3.3㎡です。㎡を坪に換算するには約3.3で割り、坪を㎡に換算するには約3.3を掛けます。物件資料は坪表示、レイアウト図は㎡やmm表示のことが多いため、比較の際は単位をそろえてください。

Q. 今のオフィスの1人あたり面積を知るにはどうすればよいですか?

現在の契約面積を在籍人数で割ると、おおよその値が出ます。そのうえで、執務エリア・会議室・収納などをエリアごとに測り、どこに余裕があり、どこが不足しているかを把握すると、移転先の面積を決める際の具体的な根拠になります。

Q. 面積に余裕がある場合、余った部分はどう使うのがよいですか?

将来の増員に備えた予備席として確保しておくほか、一時的にはミーティングスペースや集中ブース、収納の拡充に充てるのが一般的です。可動式の家具で構成しておくと、増員時に執務席へ転用しやすくなります。

この記事の数値や内容は一般的な目安です。建物の条件や働き方、法令・ビルの規定によって最適な答えは変わります。

物件の図面をお送りいただければ、何席とれるかを具体的に検討します。
移転先の比較段階からご相談ください。

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