オフィスの給湯室のつくり方

オフィスの給湯室のつくり方|設備・広さ・使いやすいレイアウト

給湯室は、お茶の準備、食器洗い、電子レンジでの温め、冷蔵庫の利用など、毎日多くの人が使う場所です。

この記事では、使いやすい給湯室をつくるためのポイントを解説します。

後半では、人数に応じた広さとレイアウトの型、家電の電源計画、衛生を保つ運用ルール、よくある失敗例とチェックリストまで、計画と運用の両面から解説します。

結論

給湯室の計画は、給排水の位置の確認から始めます。シンク・給湯器・冷蔵庫・電子レンジ・電気ポットなどの家電は消費電力が大きいため、専用回路を含めたコンセント計画が欠かせません。広さは、2人が同時に作業できる幅1,800mm以上のカウンターと、その前に1,200mm程度の通路が目安です。

木目のテーブルとカウンター席を合わせた休憩スペース
木目のテーブルとカウンター席を合わせた休憩スペース

必要な設備

設備 注意点
シンク・水栓 給排水の位置が限られる。床下の配管ルートを確認
給湯器(小型電気温水器など) シンクの下に設置することが多い。電源が必要
冷蔵庫 専用回路が望ましい。放熱のすき間を確保
電子レンジ・電気ポット 消費電力が大きく、同時使用でブレーカーが落ちやすい
食器・備品の収納 吊戸棚やカウンター下収納
ごみの分別 分別の種類に応じたごみ箱の置き場

給排水の制約

シンクの位置は、建物の給排水の配管がある場所の近くに限られます。新しく給湯室をつくる場合や位置を移す場合は、排水の勾配を確保するために床を上げる必要が出ることもあります。テナントビルでは、給排水の工事がビル側の工事(B工事)になることが多いため、早めに確認しましょう。

給湯スペースとラウンジを一体にすると、自然な会話が生まれる
給湯スペースとラウンジを一体にすると、自然な会話が生まれる
窓際のカウンター。休憩と給湯を近くにまとめると便利
窓際のカウンター。休憩と給湯を近くにまとめると便利

オープンな給湯スペース

給湯室を個室にせず、ラウンジやカフェスペースと一体にした「オープンな給湯スペース」にすると、コーヒーを入れるついでの会話が生まれ、部署を越えた交流の場になります。

ここがポイント

オープンにする場合は、水はねや音、においが執務エリアに届かないよう、執務席から少し距離をとって配置しましょう。

ベンチソファとテーブルを並べたカフェスペース
ベンチソファとテーブルを並べたカフェスペース

人数に応じた広さとレイアウトの型

給湯スペースの広さは、在籍人数よりも「同時に何人が使うか」で考えるのが基本です。昼休みの前後や始業前など、利用が集中する時間帯を想定して計画します。

レイアウト 特徴 向いている規模
I型(壁付け一列) カウンターを壁に沿って一列に並べる。省スペース 小規模。同時利用が2〜3人程度まで
L型 壁の角を使い、作業面を広くとれる 中規模。電子レンジ待ちと流し台の利用を分けやすい
II型(対面二列) 向かい合う二列のカウンター 利用者が多い場合。間の通路幅に注意
アイランド型 中央に島状のカウンターを置く ラウンジ併設の大きな給湯スペース。周囲を回遊できる
ここがポイント

カウンターの前には、作業する人の奥行きと、背後を通る人の幅を確保する必要があります。作業中の人の背後を通るなら、カウンター前に1,200mm程度あると、すれ違いのストレスが少なくなります。

家電の電源計画

給湯スペースは、オフィスの中でも電気の使用が集中しやすい場所です。電気ポット、電子レンジ、コーヒーメーカー、冷蔵庫、食器洗い機など、消費電力の大きい家電が並ぶため、電源の計画を誤るとブレーカーが頻繁に落ちる原因になります。

  • 消費電力の大きい家電は、それぞれ専用の回路にすることを検討する
  • 冷蔵庫は常時通電が必要なため、ほかの家電と回路を分けておくと、ブレーカーが落ちても止まらずに済む
  • コンセントはカウンターの高さに設け、家電の配置に合わせて数と位置を決める
  • 水まわりに近いコンセントは、水はねを考慮した位置や仕様を選ぶ
  • 将来家電が増えることを見込み、予備のコンセントを設けておく
ここがポイント

昼休みに電子レンジを2台同時に使ったらブレーカーが落ちた、というのはよくあるトラブルです。家電の数と配置を先に決めてから、電気工事業者に回路の計画を相談しましょう。

衛生を保つための運用ルール

給湯スペースは、共有で使うため、運用のルールがないと汚れやすく、においや虫の原因にもなります。設備をつくるのと同じくらい、使い方のルールを決めることが重要です。

項目 ルールの例
冷蔵庫 名前と日付を書く、週に一度の一斉整理日を決める、期限切れは処分する
ごみ 分別の区分を掲示する、生ごみは密閉できる容器に、回収日に合わせて排出
流し台 使った食器はその日のうちに洗う、排水口のごみ受けを定期的に清掃
家電 電子レンジ内の汚れはすぐに拭く、電気ポットの水は定期的に入れ替える
清掃 清掃業者の範囲と社内で行う範囲を明確にする
ここがポイント

ルールは掲示するだけでなく、ごみ箱の配置や収納の場所など、設備の側で守りやすくする工夫が大切です。分別用のごみ箱をカウンター下に組み込むと、見た目もすっきりします。

よくある失敗例と対策

  • 給湯スペースの前が行列で通路が塞がる:同時利用人数を見込んでいない。電子レンジを複数台にする、作業スペースを分散する
  • 収納が足りずカウンターが物であふれる:備品(紙コップ、洗剤、来客用の茶器)の量を把握していない。吊戸棚やカウンター下収納を計画する
  • においが執務エリアに広がる:換気の計画が不十分。換気の能力や、執務エリアとの距離・位置を検討する
  • 排水の位置の制約でレイアウトが決まらない:給排水の位置を確認せずに計画した。最初に給排水の取り出し位置を確認する
  • 水漏れで下の階に被害が出た:防水や漏水対策が不十分。床の防水仕様や、漏水センサーの設置を検討する

計画のチェックリスト

  1. 給排水の取り出し位置と、延長できる範囲を確認したか
  2. 同時利用人数を想定し、カウンターの長さと前面の余白を確保したか
  3. 家電のリストを作り、回路とコンセントの位置を決めたか
  4. 換気の方法と、においの広がりを検討したか
  5. 備品の収納量を見込んだか
  6. ごみの分別と置き場所を決めたか
  7. 冷蔵庫・清掃などの運用ルールを決めたか
ここがポイント

給排水の工事は、建物の構造に関わるため、ビル管理会社の承認が必要になることが一般的です。計画の初期段階で、工事の可否と条件を確認しておきましょう。

よくある質問

Q. 給排水がない場所に給湯スペースをつくれますか?

給排水管を延長できる範囲であれば可能な場合がありますが、排水の勾配や床下のスペースによって制約があります。延長が難しい場合は、給水タンク式の機器や、流し台を設けないコーヒーコーナーにするといった方法もあります。

Q. 給湯スペースにウォーターサーバーを置く場合の注意点は?

電源の確保に加え、ボトル交換式の場合は予備ボトルの保管スペースが必要です。重量があるため、床の荷重や設置場所の安定性も確認してください。

Q. 給湯スペースとリフレッシュスペースを一体にするメリットは?

人が自然に集まる場所になり、部署を越えたコミュニケーションが生まれやすくなります。一方で、会話の声やにおいが広がりやすいため、執務エリアとの距離や区切り方を工夫する必要があります。

この記事の数値や内容は一般的な目安です。建物の条件や働き方、法令・ビルの規定によって最適な答えは変わります。

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