ICT・セキュリティの用語集50|ネットワーク・配線から入退室管理まで

ICT・セキュリティの用語集50|ネットワーク・配線から入退室管理まで

今のオフィスづくりでは、家具や内装と同じくらい、ネットワークやセキュリティの計画が働きやすさを左右します。Web会議が途切れる、席を移ると無線LANがつながりにくい、来客と社員の動線が交わってしまう、といった悩みの多くは、レイアウトの段階でICTを一緒に考えることで防げます。

この記事では、親記事の「ICT・セキュリティ」で紹介した用語に加えて、ネットワークの基本、配線と機器設置、無線LANと会議室、情報セキュリティ、物理セキュリティの5つの分野から、さらに50の用語をやさしく解説します。社内の情報システム担当者や業者との打ち合わせの前に、共通言語として役立ててください。

ネットワークの基本用語

用語 意味
LAN(ラン) Local Area Networkの略で、オフィスの中など限られた範囲でパソコンや複合機、サーバーをつなぐネットワークです。有線LANと無線LANがあり、両方を組み合わせて構成するのが一般的です。
WAN(ワン) Wide Area Networkの略で、本社と支店、オフィスとデータセンターなど、離れた拠点同士を結ぶ広域のネットワークです。通信事業者の回線やインターネットを利用して構成します。
ルーター 異なるネットワーク同士をつなぎ、通信の行き先を判断して中継する機器です。オフィスではインターネット回線と社内LANの境目に置かれ、ファイアウォールやVPNの機能を兼ねる機種もあります。
スイッチ(L2・L3) LANケーブルを集約し、つながった機器同士の通信を中継する機器です。L2スイッチは同じネットワーク内の中継、L3スイッチはネットワーク間の経路制御まで行えるのが一般的な違いです。
VLAN(ブイラン) 物理的には同じスイッチにつながっていても、論理的にネットワークを分ける仕組みです。部署別や来客用、防犯カメラ用などに分けることで、セキュリティの確保と通信の整理ができます。
IPアドレス ネットワーク上で機器を識別するための番号です。社内で使うプライベートアドレスと、インターネット上のグローバルアドレスがあり、複合機やサーバーには固定のアドレスを割り当てることが多いです。
DHCP(ディーエイチシーピー) パソコンやスマートフォンがネットワークにつながったときに、IPアドレスなどの設定を自動で割り当てる仕組みです。ルーターやサーバーが担い、利用台数に応じた割り当て範囲の設計が必要です。
DNS(ディーエヌエス) ドメイン名をIPアドレスに変換する仕組みで、ネットワークの住所録のような役割を果たします。DNSが止まるとWebサイトやクラウドサービスに接続できなくなるため、重要な基盤の一つです。
帯域(たいいき) ネットワークで一度に送れるデータ量の大きさで、bps(ビット毎秒)で表します。Web会議やクラウドの利用が増えると必要な帯域も増えるため、人数や使い方に応じた回線選びが大切です。
冗長化(じょうちょうか) 機器や回線を二重化するなどして、片方が故障しても業務を続けられるようにすることです。インターネット回線を2系統にする、重要な機器に予備を用意するといった方法があります。

配線・機器設置の用語

用語 意味
LANケーブルのカテゴリ LANケーブルの性能を表す規格で、Cat5e・Cat6・Cat6Aなどがあります。数字が大きいほど高速通信に対応し、新しく配線する場合は将来を見込んでCat6A程度を選ぶのが一例です。
情報コンセント 壁や床に設けたLANケーブルの差込口です。電源コンセントと並べて設置されることが多く、デスクや複合機、会議室のモニターの位置に合わせて数と場所を計画します。
先行配線(せんこうはいせん) 内装工事や家具の搬入より前に、OAフロアの下や壁の中へLANケーブルを通しておくことです。後からの配線より見た目が整い工期も短くなりますが、レイアウトを早めに確定させる必要があります。
パッチパネル 各席や部屋から集まったLANケーブルを、ラック内でまとめて接続する端子盤です。スイッチとの間を短いケーブルでつなぐため、席の移動があってもつなぎ替えだけで対応しやすくなります。
光ファイバー 光の信号でデータを送るケーブルです。長い距離でも信号の劣化が少なく高速通信に向いており、建物への回線の引き込みや、フロア間・離れたラック同士をつなぐ幹線によく使われます。
MDF・IDF MDFは建物に引き込んだ通信回線を集める主配線盤、IDFは各階に設けられた中間配線盤です。通信回線を新しく引くときは、MDFからテナントまでの経路と空き状況をビル側に確認します。
ラック ネットワーク機器やサーバーを収める専用の棚で、幅19インチの規格が一般的です。高さは「U」という単位で表し、機器の台数や将来の増設、放熱のための余裕を見込んでサイズを選びます。
サーバールーム サーバーやネットワーク機器を集中して設置する部屋です。専用の空調、電源容量、入室制限、床の耐荷重などを考える必要があります。クラウド化により小型のラックで済むケースも増えています。
ラベリング LANケーブルの両端や情報コンセント、パッチパネルに番号を付け、対応関係が分かるようにすることです。配線図と番号をそろえておくと、トラブル時の切り分けやレイアウト変更がスムーズになります。
排熱(はいねつ) ネットワーク機器やサーバーが出す熱を外へ逃がすことです。ラックを狭い収納や換気の悪い場所に置くと熱がこもり、故障の原因になります。設置場所の空調や換気の確保が欠かせません。
内装工事中に先行配線されたLANケーブル
内装工事の段階で先行配線したLANケーブル
ここがポイント

配線計画は、内装工事や家具の計画と同じタイミングで進めるのがポイントです。デスクの位置が決まる前に情報コンセントの位置を決めてしまうと、延長ケーブルが床を這う状態になりがちです。ラックの置き場所や回線の引き込み経路、ビル側への申請の要否も早めに確認しておきましょう。

無線LAN・会議室ICTの用語

用語 意味
アクセスポイント 無線LANの電波を出し、パソコンやスマートフォンを有線ネットワークにつなぐ機器です。天井や壁の高い位置に設置することが多く、利用人数と部屋の形に合わせて台数と配置を決めます。
SSID(エスエスアイディー) 無線LANのネットワーク名です。社員用・来客用などSSIDを分けて用途ごとに接続先を区別するのが一般的で、それぞれに異なるパスワードや認証方式、通信の制限を設定できます。
周波数帯(2.4GHz・5GHz・6GHz) 無線LANが使う電波の帯域です。2.4GHz帯は遠くまで届きやすい反面ほかの機器と干渉しやすく、5GHz帯や6GHz帯は高速で混雑しにくい一方、壁などの障害物に弱い傾向があります。
無線LAN規格 無線LANの通信方式を定めた規格で、世代ごとに通信速度や同時接続の性能が向上しています。アクセスポイントとパソコンの両方が新しい規格に対応していないと、性能を十分に生かせない点に注意します。
ローミング 無線LANにつながったまま移動したとき、近くのアクセスポイントへ自動で接続先を切り替えることです。フリーアドレスのオフィスでは、Web会議中に席を移動しても途切れにくい設計が求められます。
サイトサーベイ 無線LANの導入前後に、実際の電波の強さや干渉の状況を測定・調査することです。間仕切や家具、ガラス、金属製の収納は電波に影響するため、レイアウトの確定後に行うと効果的です。
ゲストネットワーク 来訪者向けに用意する、社内ネットワークとは切り離したインターネット接続です。社内のファイルサーバーや複合機にアクセスできないよう分離し、期限付きのパスワードで運用する方法もあります。
Web会議システム インターネット経由で映像と音声をやり取りし、離れた場所の人と会議をする仕組みです。会議室ではカメラ・マイク・スピーカー・モニターの組み合わせと、部屋の広さや反響に合った配置が重要です。
ワイヤレス投影 ケーブルをつながずに、パソコンの画面を会議室のモニターやプロジェクターに映す仕組みです。会議の準備時間を短くできますが、社内ネットワークとの接続方法やセキュリティ設定を確認して導入します。
会議室予約システム 会議室の空き状況の確認や予約をオンラインで行う仕組みです。入口の表示端末で利用状況を示したり、センサーと連動して使われていない予約を自動で解除したりする機能もあります。

情報セキュリティの用語

用語 意味
ファイアウォール 社内ネットワークとインターネットの境界で、許可された通信だけを通し、不正なアクセスを遮断する仕組みです。専用機器のほか、ルーターやパソコンのソフトウェアとして搭載されるものもあります。
UTM(ユーティーエム) ファイアウォール・ウイルス対策・不正侵入の検知・Webフィルタリングなど、複数の防御機能を1台にまとめた機器です。専任の担当者が少ない中小規模のオフィスでよく使われています。
VPN(ブイピーエヌ) インターネット上に暗号化された仮想的な専用回線を作る技術です。拠点間の接続や在宅勤務からの社内アクセスに使われます。機器の脆弱性を放置すると侵入口になるため、更新の管理が重要です。
ゼロトラスト 「社内だから安全」とは考えず、すべてのアクセスを都度確認するというセキュリティの考え方です。利用者や端末の状態を確認したうえで必要な範囲だけを許可し、クラウドやテレワークが多い環境に向いています。
多要素認証(MFA) パスワードなどの「知識」に、スマートフォンなどの「所持」や指紋などの「生体」といった異なる要素を組み合わせて本人を確認する方法です。パスワード流出による不正ログインを防ぐ効果が高いとされています。
SSO(シングルサインオン) 一度の認証で、複数のクラウドサービスや社内システムにログインできる仕組みです。パスワードの使い回しを減らし、入社・退職時のアカウントの発行や停止を一元管理しやすくなります。
EDR(イーディーアール) パソコンなどの端末の動きを監視し、不審な挙動を検知して隔離や調査を支援する仕組みです。従来のウイルス対策をすり抜ける攻撃への備えとして、導入する企業が増えています。
MDM(エムディーエム) 会社が配布するスマートフォンやタブレット、パソコンを一元管理する仕組みです。設定の配布やアプリの管理のほか、紛失したときに遠隔で画面をロックしたりデータを消去したりできます。
バックアップ データの複製を別の場所に保存しておくことです。一例として「3つのコピーを2種類の媒体に、うち1つは別の場所に」という考え方があり、ランサムウェア対策としてネットワークから切り離した保管も推奨されています。
アクセス権限 どのデータやシステムに誰がアクセスできるかを定めた設定です。業務に必要な範囲だけを与える「最小権限」が基本で、異動や退職のたびに見直すことで情報漏えいのリスクを抑えられます。
ここがポイント

情報セキュリティと物理セキュリティは別々に考えがちですが、オフィスでは両方がつながっています。たとえば機密エリアの扉を厳重にしても、来客用の無線LANが社内ネットワークとつながっていれば効果は薄れます。レイアウト・内装の計画とICTの計画を同じテーブルで進めることが大切です。

物理セキュリティの用語

用語 意味
入退室管理 誰が・いつ・どの部屋に出入りしたかを管理する仕組みです。ICカードや生体認証で扉を解錠し、その履歴を記録します。勤怠管理や、空調・照明の制御と連携させる使い方もあります。
セキュリティゾーニング オフィスを来客エリア・執務エリア・機密エリアなどに分け、奥へ進むほど入室できる人を限定する考え方です。レイアウトの段階で、扉の位置や動線とあわせて計画することが重要です。
ICカード認証 社員証などのICカードを読み取り機にかざして本人を確認し、扉を解錠する方式です。導入しやすく広く使われていますが、カードの貸し借りや紛失時の対応ルールを決めておく必要があります。
生体認証(せいたいにんしょう) 指紋・顔・静脈など、身体的な特徴を使って本人を確認する方式です。カードの紛失や貸し借りの心配がなく、サーバールームなど高いセキュリティが求められる部屋で採用されることが多いです。
アンチパスバック 入室の記録がない人は退室できず、退室の記録がない人は再入室できないようにする機能です。カードの使い回しや共連れを抑止し、在室者を正確に把握するのにも役立ちます。
共連れ(ともづれ) 認証した人のすぐ後ろについて、認証せずに一緒に入室してしまうことです。不正侵入の典型的な手口で、1人ずつしか通れないゲートや監視カメラ、社員への注意喚起などで対策します。
防犯カメラ 出入口や重要な部屋の映像を記録する設備です。ネットワーク対応のものは遠隔で確認しやすい一方、映像の保存期間や閲覧できる人のルール、従業員のプライバシーへの配慮も必要です。
電気錠(でんきじょう) 電気信号で施錠・解錠を行う錠前で、入退室管理システムと組み合わせて使います。停電や火災のときに解錠するか施錠を保つかの設定は、避難の観点から防災設備との連動も含めて確認が必要です。
来訪者管理 来客の受付・入館証の発行・入退館の記録を行う仕組みです。受付端末や二次元コードを使うシステムもあり、誰がいつ訪問したかを記録することで、セキュリティと受付業務の効率化を両立できます。
クリアデスク・クリアスクリーン 離席時や退社時に机の上に書類を残さず、パソコンの画面をロックするルールです。フリーアドレスでは特に重要で、個人ロッカーなど書類をしまう収納の計画とセットで考えます。

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