オフィスの換気計画|必要な換気量の考え方と、窓のない部屋の注意点
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「エアコンがあるから換気もできている」と思われがちですが、一般的な個別方式のエアコンは室内の空気を循環させているだけで、外の空気を取り入れる機能はありません。
この記事では、オフィスの換気の基本と、レイアウト変更時に気をつけたいポイントを解説します。
後半では、換気量の考え方とCO2濃度の目安、換気不足のサイン、レイアウト変更時の注意点、季節ごとの運用、よくある失敗例まで、総務担当者が日常の管理で使える実践的な知識をまとめます。
オフィスの換気は、1人あたり毎時30㎥程度の外気を取り入れるのが一つの目安です。会議室や個室ブースなど閉じた空間をつくるときは、その部屋に換気口があるか、人数に対して換気量が足りているかを確認し、必要に応じて換気設備を追加します。

空調と換気の違い
| 設備 | 役割 |
|---|---|
| 空調(エアコン) | 室内の空気の温度・湿度を調整する。多くは室内の空気を循環させるだけ |
| 換気 | 室内の汚れた空気を外に出し、外の新鮮な空気を取り入れる |
オフィスビルでは、全熱交換器(換気しながら室温の変化を抑える装置)を使った換気が一般的です。天井に給気口と排気口が並んでいることが多く、空調の吹出口とは別に設けられています。
換気の方式
| 方式 | 給気 | 排気 | 主な使用場所 |
|---|---|---|---|
| 第1種換気 | 機械 | 機械 | オフィスの居室全般(全熱交換器など) |
| 第2種換気 | 機械 | 自然 | クリーンルームなど |
| 第3種換気 | 自然 | 機械 | トイレ・給湯室・喫煙室など |


閉じた空間をつくるときの注意
- 会議室を新設したら、その部屋に給気口・排気口があるか確認する
- 人数が多い部屋は、換気量が足りているかを計算する
- 個室ブースは、内蔵の換気ファンの能力と運転音を確認する
- 二酸化炭素濃度を測るセンサーで、換気の状態を見える化する方法も
会議の後半に眠くなったり頭が重くなったりするのは、換気不足で二酸化炭素濃度が上がっているサインかもしれません。一般に1,000ppm以下が望ましいとされています。

換気量の考え方|なぜ「人数」で決まるのか
換気の必要量は、部屋の広さよりも「その部屋に何人いるか」で決まります。人は呼吸によって二酸化炭素を出し続けるため、人が多いほど多くの外気を取り入れないと室内の空気がよどんでしまうからです。オフィスビルの空調・換気設備は、設計時に想定した在籍人数をもとに能力が決められています。
- 設計時の想定人数を超えて席を増やすと、換気が足りなくなる可能性がある
- 会議室は面積が小さい割に人が集まるため、換気不足になりやすい
- フリーアドレスで特定エリアに人が集中すると、局所的に空気がよどむ
席数を増やすレイアウト変更を行う場合は、ビル管理会社に設備の想定人数を確認しておくと、入居後の「空気が悪い」というトラブルを防げます。
CO2濃度を目安に換気状態を「見える化」する
換気が足りているかどうかは、体感だけでは判断しにくいものです。そこで役立つのが二酸化炭素濃度の測定です。CO2濃度は換気状態の指標として広く使われており、一般的には1,000ppm以下がひとつの目安とされています。
- 測定器を、人が集まる会議室や執務エリアの中央付近、人の呼吸の高さに置く
- 時間帯ごとに数値を記録し、会議中や昼休み明けなど高くなるタイミングを把握する
- 目安を超えやすい部屋は、利用人数の上限を決める、休憩ごとに扉を開けるなどの運用で対応する
- 運用で改善しない場合は、換気設備の能力や運転状態をビル管理会社に確認する
測定器は、置き場所によって数値が大きく変わります。窓のそばや吹き出し口の直下は避け、実際に人が座っている位置で測るのがポイントです。
換気不足のサインと原因の切り分け
「なんとなく眠い」「頭が重い」「会議の後半に集中力が落ちる」といった声は、換気不足のサインであることがあります。原因を切り分けるときは、次の順に確認すると効率的です。
- 換気設備のスイッチが切れていないか、省エネのために運転を止めていないか
- 給気口・排気口が家具や荷物でふさがれていないか
- フィルターが目詰まりしていないか(定期清掃の記録を確認)
- 間仕切りの追加で、給気と排気の位置関係が変わっていないか
- 在籍人数が設備の想定を超えていないか
間仕切りで部屋をつくった結果、給気口しかない部屋や排気口しかない部屋ができてしまうことがよくあります。空気の入口と出口の両方があって初めて換気が成立します。
季節ごとの運用のポイント
| 季節 | よくある課題 | 運用の工夫 |
|---|---|---|
| 夏 | 冷房効率を優先して換気を止めがち | 換気は止めず、熱交換型の設備があれば活用する |
| 冬 | 乾燥と寒さで窓を開けたくない | 短時間で効率よく換気し、加湿とあわせて管理する |
| 春・秋 | 花粉や外気の汚れが気になる | フィルターの点検頻度を上げる |
窓を開けて換気する場合は、対角線上の2か所を開けると空気の通り道ができ、短時間で効率よく入れ替えられます。片側の窓だけを大きく開けるよりも効果的です。
よくある失敗例と対策
- 会議室を新設したら息苦しくなった:天井まで間仕切りをしたのに換気設備を追加しなかった。間仕切り工事と換気工事はセットで計画する
- 窓際だけ空気が冷たく、奥がよどむ:給気と排気の位置が偏っている。サーキュレーターで空気を循環させる
- 換気扇の音がうるさいと止められてしまった:機器の選定時に静音性を確認し、運転を止めないルールを周知する
- フィルター清掃をしていなかった:清掃の担当と頻度をビル管理会社と取り決めておく
換気の問題は、レイアウト変更や間仕切り工事の後に表面化することが多いです。工事の計画段階で、設備業者に換気への影響を確認しておきましょう。
よくある質問
Q. 空気清浄機があれば換気は不要ですか?
空気清浄機は、ほこりや花粉などを取り除くものですが、二酸化炭素を減らすことはできません。換気の代わりにはならないため、併用するのが基本です。
Q. 個室ブースやフォンブースの換気はどう考えればよいですか?
密閉性の高いブースは、内部に換気ファンを備えたものを選ぶのが基本です。設置場所の空調・換気の状況によって効果が変わるため、設置前に確認しましょう。
Q. 賃貸オフィスで換気設備を増やせますか?
ビルの設備に関わるため、ビル側の承認が必要です。ダクトの経路や外壁の開口など建物の制約もあるため、早めにビル管理会社に相談してください。
この記事の数値や内容は一般的な目安です。建物の条件や働き方、法令・ビルの規定によって最適な答えは変わります。


