オフィスの喫煙室の基準|屋内禁煙のルールと、喫煙専用室を設ける条件
共有
オフィスの喫煙については、健康増進法の改正により、原則として屋内禁煙となっています。
この記事では、オフィスで喫煙できる場所を設ける場合の基準と、計画のポイントを解説します。
後半では、設置までの手順、場所選びの考え方、煙やにおいの漏れを防ぐ工夫、運用ルールと清掃、よくある失敗例まで、喫煙室の設置や見直しを検討する総務担当者向けに実務のポイントを掘り下げます。
オフィスは原則屋内禁煙で、屋内で喫煙できるのは基準を満たした喫煙専用室などに限られます。喫煙専用室には、出入口で室外から室内への空気の流れ(0.2m/秒以上)、壁・天井による区画、煙を屋外へ排気といった基準があり、標識の掲示も必要です。

喫煙専用室の主な基準
| 項目 | 基準 |
|---|---|
| 空気の流れ | 出入口で、室外から室内へ0.2m/秒以上の気流があること |
| 区画 | たばこの煙が室外に流れ出ないよう、壁・天井などで区画されていること |
| 排気 | たばこの煙が屋外に排気されていること |
| 標識 | 出入口に、喫煙専用室であることなどを示す標識を掲示すること |
| 利用者 | 20歳未満の者は立ち入れない(従業員も含む) |
設置で注意すること
- 屋外への排気ダクトのルートを確保できるか
- 排気ファンの設置と、ビル側の許可
- 執務エリアや出入口から離れた位置に
- においが廊下や執務エリアに漏れないよう、出入口の構造に配慮
- ビル全体で喫煙所を設けている場合は、ビルのルールに従う
排気ダクトのルートが確保できない場合、喫煙専用室を設けることは難しくなります。賃貸ビルでは、まずビル側に喫煙室を設けられるかを確認しましょう。


喫煙所を設けない選択
喫煙所の設置・維持には、工事費や電気代、清掃の手間がかかります。近年は喫煙所を設けず、その面積を休憩スペースやラウンジとして活用する企業も増えています。
設置までの一般的な手順
- 社内の喫煙者数と、利用が集中する時間帯を把握する
- ビル側に、喫煙室の設置が認められるか、共用の喫煙所があるかを確認する
- 設置場所の候補を選び、排気ダクトの経路と外部への排気位置を確認する
- 必要な基準を満たす仕様を施工会社と検討する
- ビル側の承認を得て工事を行う
- 風量や気流の確認を行い、標識の掲示などの必要事項を整えてから使用を開始する
喫煙室に関する基準は、法令や自治体の条例によって定められており、建物の種類や地域によって異なる場合があります。一般的な目安にとどめず、所轄の行政機関や施工会社に確認しながら進めることが大切です。
場所選びの考え方
喫煙室の場所は、排気のしやすさと、においや煙が周囲に与える影響の両面から選びます。オフィスの奥まった場所に設けると、執務エリアを通って移動する人が増え、衣服についたにおいへの不満が出やすくなります。
- 排気ダクトを外部まで通しやすい位置か(外壁や既存の排気設備の近く)
- 執務エリアや会議室、受付から離れているか
- 入口の扉の開閉で、煙が通路側に流れ出にくい配置か
- 利用者の動線が、来客の動線と重ならないか
排気の出口が、近隣の窓や外気の取り入れ口の近くにあると、別の場所でにおいのトラブルになることがあります。外部への排気位置まで確認しましょう。
煙・においの漏れを防ぐ工夫
喫煙室の基準を満たしていても、運用や細部の納まりによって、においが漏れることがあります。特に扉まわりと壁・天井の隙間は、煙の漏れやすいポイントです。
- 入口では室内に向かって空気が流れ込む状態を保ち、煙が外に出ないようにする
- 間仕切りは天井まで隙間なく施工し、天井内を経由して煙が漏れないようにする
- 扉は開けっ放しにしない運用を徹底する
- 喫煙室の前に、においを和らげる前室やスペースを設ける方法もある
- 排気設備のフィルターや換気扇の清掃を定期的に行い、風量の低下を防ぐ
においへの不満は、喫煙室そのものよりも、喫煙後の衣服や息のにおいによるものも多いです。喫煙室の出口付近に消臭用の設備を置くなどの配慮も検討するとよいでしょう。
運用ルールと清掃・メンテナンス
| 項目 | 運用の例 |
|---|---|
| 利用時間 | 業務時間中の利用ルールを決め、混雑時間帯を分散させる |
| 利用人数 | 一度に利用できる人数の目安を掲示する |
| 清掃 | 灰皿の清掃頻度と担当を決め、清掃業者の作業範囲に含めるか確認する |
| 設備点検 | 排気設備の運転状態とフィルターの清掃を定期的に行う |
| 標識 | 喫煙室である旨や、未成年の立ち入りに関する掲示などの必要事項を確認する |
喫煙室は、壁や天井にヤニが付着して黄ばみやすく、においも内装に染みつきます。退去時の原状回復で費用がかさむことがあるため、清掃しやすい内装材を選ぶことも検討しましょう。
よくある失敗例と対策
- 通路ににおいが漏れて苦情が出る:扉の開閉時に煙が出ている。気流の確認と、扉の運用ルールを徹底する
- 昼休みに混雑して喫煙室の外で待つ人が出る:利用人数の想定が少なかった。時間帯の分散や設置場所の追加を検討する
- 排気の出口でにおいのトラブルが起きた:外部への排気位置を事前に確認していなかった
- 退去時に内装の原状回復費用が想定以上になった:ヤニ汚れの清掃や内装の張り替え費用を見込んでおく
喫煙者・非喫煙者の双方に配慮した社内コミュニケーション
喫煙室の設置や見直しは、喫煙者と非喫煙者の間で意見が分かれやすいテーマです。一方的にルールを決めると、不公平感や不満が残りやすくなります。
- 設置や廃止の目的(健康への配慮、受動喫煙の防止、職場環境の改善など)を明確に伝える
- 利用時間のルールは、休憩の取り方全体の公平性とあわせて検討する
- 禁煙を希望する社員への支援策があれば、あわせて案内する
- 運用開始後に意見を聞き、必要に応じてルールを見直す
よくある質問
Q. 加熱式たばこ専用の喫煙室は、紙巻たばこの喫煙室と基準が違いますか?
一般的に、加熱式たばこ専用の喫煙室では、喫煙室内で飲食ができるなど扱いが異なる場合があります。基準は法令や条例によって定められているため、最新の内容を所轄の行政機関に確認してください。
Q. 喫煙ブース(パッケージ型)を置くのはどうですか?
工事の範囲を抑えられる場合がありますが、排気の方法や設置場所によっては基準を満たせないこともあります。設置前に排気の方式とビル側の承認を確認しましょう。
Q. 喫煙室を廃止するときに注意することはありますか?
廃止の時期を早めに社内に周知し、ビル周辺での喫煙が増えないよう、近隣への配慮も含めたルールを整えておくとトラブルを防げます。
この記事は一般的な情報をまとめたもので、法的な助言ではありません。基準は改正されることがあり、建物や事業所の条件によって適用が異なります。所轄の行政機関や専門家にご確認ください。

