事務所衛生基準規則とは

事務所衛生基準規則とは|オフィスの照度・温度・換気・トイレの数の基準

オフィスの明るさや温度、トイレの数には、労働者の健康を守るための基準があります。その代表が「事務所衛生基準規則」です。

この記事では、オフィスづくりで関係する主な基準を整理します。

これらの基準は「満たしていればよい最低ライン」です。レイアウト変更や増員のたびに基準を満たし続けているかを確認する仕組みをつくることが、総務担当者の大切な役割です。

結論

主な基準として、一般的な事務作業の照度は300lx以上、室温は18〜28℃、湿度は40〜70%が目安とされています。トイレは男女別に、人数に応じた数を設けること、一定の人数以上の事業所では横になれる休養室を設けることも定められています。

明るさや温度は、働く人の健康と快適さに直結する
明るさや温度は、働く人の健康と快適さに直結する

作業環境の主な基準

項目 基準の目安
照度(一般的な事務作業) 300lx以上
照度(付随的な事務作業) 150lx以上
室温 18〜28℃(努力目標)
相対湿度 40〜70%(努力目標)
一酸化炭素 10ppm以下
二酸化炭素 1,000ppm以下(空調設備がある場合の目安)

照度300lxは最低限の基準です。快適に作業するための推奨値としては、執務エリアで750lx程度がよく用いられます(「オフィス照明の基本」参照)。

トイレの数

区分 基準の目安
男性用大便所 同時に就業する男性60人以内ごとに1個以上
男性用小便所 同時に就業する男性30人以内ごとに1個以上
女性用便所 同時に就業する女性20人以内ごとに1個以上
ここがポイント

同時に就業する人数が少ない(10人以内など)事業所では、一定の条件を満たした独立個室型の便所で代替できる場合があります。テナントビルでは共用トイレを使うことが多いため、ビル側の設備で基準を満たしているかを確認しましょう。

休憩できる場所は、健康的に働くための大切な設備
休憩できる場所は、健康的に働くための大切な設備
窓際の明るい執務エリア。照度の基準を満たしつつ、まぶしさにも配慮
窓際の明るい執務エリア。照度の基準を満たしつつ、まぶしさにも配慮

休養室・休憩の設備

  • 常時50人以上、または女性30人以上が働く事業所では、男女別に横になれる休養室(休養所)を設ける
  • 休憩の設備を設けるよう努める
  • 睡眠や仮眠の機会がある場合は、適当な睡眠・仮眠の場所を設ける
天井カセット形エアコンと照明
天井カセット形エアコンと照明

空間の広さ・換気に関する基準

照度や温湿度のほかにも、オフィスの「広さ」と「空気」に関する基準があります。座席を増やしたり、会議室を新設したりするときに見落としやすいので、レイアウト検討の段階で確認しておきましょう。

項目 基準の目安 レイアウト上の注意
気積(1人あたりの空気の量) 一般的に1人あたり10㎥以上(床から一定の高さまでで計算) 増員時や小部屋に人を集めるときに確認
窓などの開口部 直接外気に向かって開放できる部分が床面積の一定割合以上(換気設備がある場合を除く) 間仕切りで窓のない部屋をつくる場合は換気計画が必要
気流 空調の風が直接人に当たらないよう一定の速さ以下が目安 吹出口の真下に席を置かない
ここがポイント

間仕切りを新設して個室をつくると、その部屋だけ換気や空調が不足することがあります。内装工事の前に、空調・換気の能力をビル管理者や設備業者に確認しましょう。

清掃・給水・救急用具など運用面の基準

事務所衛生基準規則では、設備だけでなく、日常の維持管理についても定められています。テナントの場合はビル側が対応する部分と、自社が対応する部分を切り分けて把握しておくことが大切です。

項目 一般的な内容 主な担当の目安
大掃除 定期的(一般的に6か月以内ごとに1回)に実施 自社(専有部)
ねずみ・害虫の点検 定期的な調査と必要な対策 ビル・自社で分担
給水 飲用に適した水を供給 主にビル側
救急用具 負傷者の手当てに必要な用具を備え、場所を周知 自社
洗面・更衣設備 作業内容に応じて設ける ビル・自社で分担

救急用具は「どこにあるか誰も知らない」状態になりがちです。設置場所を掲示し、中身の使用期限を定期的に点検する担当を決めておきましょう。

ビル側と自社の責任範囲の整理

テナントビルの場合、空調・給排水・共用トイレなどはビルの管理範囲であることが多く、大規模なビルでは別の法律にもとづいて空気環境の測定などが行われています。一方、専有部内のレイアウトや人数、休養室の設置は自社の責任です。

  • 賃貸借契約書・管理規約で、設備の管理区分を確認する
  • ビルの空気環境測定の結果を、管理者から共有してもらえるか確認する
  • 専有部内で間仕切りや設備を追加する場合は、事前にビル側の承認を得る
  • 共用トイレの数が自社の人数に対して十分か、同じフロアの他テナントも含めて確認する
ここがポイント

入居前の内見時に「共用トイレの数」「空調の運転時間と延長の可否」を確認しておくと、入居後の不満を防げます。

オフィス新設・移転時の確認チェックリスト

  1. 計画人数(ピーク時に同時に働く人数)を確定する
  2. 照度・温湿度・換気について、ビルの設備仕様を確認する
  3. トイレの数が男女別の人数に対して足りているか確認する
  4. 人数に応じて休養室や休憩設備の要否を判断し、場所を確保する
  5. 窓のない部屋や密閉性の高い個室に、換気・空調が届くか確認する
  6. 救急用具の置き場所、清掃・点検の担当を決める
  7. 入居後に照度や温湿度を実際に測り、計画どおりか確認する

基準の詳細や適用の条件は、事業所の規模や業態によって異なる場合があります。判断に迷うときは、所轄の労働基準監督署や専門家に確認しましょう。

よくある見落としと対策

見落とし 起こりやすい場面 対策
増員でトイレが不足 移転後に人数が増えた 増員計画の段階でトイレ数を再確認
休養室がいつの間にか倉庫に 面積不足で物置として使われた 用途を掲示し、定期点検の対象にする
会議室だけ二酸化炭素濃度が高い 小部屋に多人数が長時間こもる 換気量の確認、会議時間の工夫、測定器の設置
窓際だけ暑い・寒い 日射や外気の影響 ブラインド運用や席配置の工夫
ここがポイント

簡易的な温湿度計や二酸化炭素濃度計を執務エリアや会議室に置いておくと、数値で状況を把握でき、空調の調整依頼もしやすくなります。

よくある質問

Q. テナントビルの場合、基準を満たす責任はビル側にありますか?

労働者の作業環境を整える責任は事業者(自社)にあります。ビルの設備で基準を満たしているかを確認し、不足があればビル側と相談したり、自社で対策したりする必要があります。

Q. 休養室はどんな部屋が必要ですか?

一般的には、男女別に横になれる場所を設けることが求められます。広さや設備の詳細は事業所の条件によって異なるため、所轄の行政機関に確認すると確実です。

Q. 二酸化炭素濃度はどうやって確認すればよいですか?

市販の測定器で日常的に確認できます。大きなビルでは管理者が定期的に測定していることも多いので、結果の共有を依頼してみましょう。

この記事は一般的な情報をまとめたもので、法的な助言ではありません。基準は改正されることがあり、建物や事業所の条件によって適用が異なります。所轄の行政機関や専門家にご確認ください。

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