オフィスの防災備蓄

オフィスの防災備蓄|必要な量の目安と、保管場所・管理の方法

大きな災害で交通機関が止まると、従業員がすぐに帰宅できない状況が起こります。その間、オフィスで安全に過ごすための備えが防災備蓄です。

この記事では、オフィスの防災備蓄の考え方と、保管・管理の方法を解説します。

後半では、帰宅困難を想定したシナリオから見た備蓄の考え方、見落としやすい備蓄品、来訪者分の考え方、配布と運用のルール、訓練と見直しの方法まで解説します。

結論

一般に、従業員が3日間オフィスにとどまれる量の備蓄が目安とされています。1人あたり水は1日3L・3日で9L、食料は1日3食・3日で9食程度が目安です。あわせて、毛布・簡易トイレ・救急用品・懐中電灯なども用意し、期限の管理方法を決めておきます。

備蓄品は、取り出しやすく、分散して保管する
備蓄品は、取り出しやすく、分散して保管する

備蓄品の種類と量の目安

品目 1人あたり3日分の目安
飲料水 9L(1日3L)
主食(アルファ米・缶詰パンなど) 9食(1日3食)
毛布・保温シート 1枚
簡易トイレ 15回分程度(1日5回)
その他 救急用品、懐中電灯、ラジオ、電池、マスク、衛生用品など
ここがポイント

従業員だけでなく、来客など社外の人の分も、ある程度余分に用意しておくと安心です。

保管場所の考え方

  • 1か所に集中させず、フロアごと・エリアごとに分散する
  • エレベーターが止まることを考え、各フロアに置く
  • 取り出しやすく、避難経路をふさがない場所に
  • 重い水は下段に置き、収納は転倒防止の固定を
収納の一部を備蓄品の保管に割り当てる
収納の一部を備蓄品の保管に割り当てる
災害時に休める場所も、事前に決めておく
災害時に休める場所も、事前に決めておく

期限の管理

  • 備蓄品の一覧と、賞味期限・使用期限を記録する
  • 期限が近いものは、防災訓練で使う・配布するなどして入れ替える(ローリングストック)
  • 担当者と点検の時期を決める
  • 乾電池やモバイルバッテリーの残量も定期的に確認

「何日・何人・どんな状況か」で備蓄を考える

備蓄の量は、単純に「人数×日数」で計算するだけでは不十分です。災害の種類や発生時間帯によって、オフィスにとどまる人数も、必要になる物も変わります。いくつかのシナリオを想定して、備蓄の中身を考えることが大切です。

シナリオ 想定される状況 備蓄で重視するもの
勤務時間中の大地震 公共交通機関が止まり、多くの従業員が帰宅できない 飲料水・食料・簡易トイレ・毛布など、数日間とどまるための物資
夜間・休日の発生 出社している人は少ないが、翌日以降の出社が困難 安否確認の手段、事業再開のための備え
停電の長期化 照明・空調・エレベーター・通信が使えない 照明器具、電源(電池・充電器)、防寒・暑さ対策
断水 トイレや手洗いが使えない 簡易トイレ、ウェットティッシュ、衛生用品
ここがポイント

勤務時間中の災害では、従業員を一斉に帰宅させると、混乱した道路や駅で二次被害に遭う危険があります。一般的に、安全が確認できるまでオフィスにとどまる方針が推奨されており、自治体によっては事業者に備蓄を求める条例を設けている場合もあります。所在地の自治体の情報を確認しておきましょう。

見落としやすい備蓄品

水と食料は準備していても、それ以外の物資が不足しているケースは少なくありません。実際にオフィスで数日間過ごすことを想像して、必要な物を洗い出します。

  • 簡易トイレ:断水や排水管の損傷でトイレが使えなくなることを想定。1人1日あたりの使用回数から量を見積もる
  • 衛生用品:生理用品、ウェットティッシュ、マスク、消毒液、ごみ袋
  • 防寒・暑さ対策:毛布やアルミシート、季節によっては冷却用品
  • 照明と電源:懐中電灯、ランタン、乾電池、携帯電話の充電手段
  • 情報収集の手段:電池式のラジオ、紙の地図、連絡先の一覧(紙で保管)
  • 救急用品:けがの手当てに使う救急セット、常備薬は各自で用意するよう呼びかける
  • 工具類:バール、ジャッキ、軍手、ヘルメットなど、閉じ込めや落下物への対応
ここがポイント

簡易トイレは、水や食料に比べて準備が後回しにされがちですが、数日間とどまる状況では最も切実に必要になる物資のひとつです。

来訪者や在籍外の人の分も見込む

災害時にオフィスにいるのは従業員だけとは限りません。来客、取引先の担当者、常駐の委託スタッフ、工事業者など、在籍人数に含まれない人がいることを想定しておく必要があります。

  • 在籍人数に一定の割合を上乗せして備蓄する考え方が一般的
  • 来客が多い業種や、受付・ショールームがあるオフィスは上乗せを多めに
  • 常駐の委託スタッフがいる場合は、委託元との間で備蓄の負担を取り決めておく
ここがポイント

ビル全体で備蓄を行っている場合もあるため、ビル管理会社に建物の防災計画や備蓄の状況を確認し、テナント側で準備すべき範囲を明確にしておくと重複を防げます。

配布と運用のルールを決めておく

備蓄品があっても、いざというときに誰がどこから出して、どう配るかが決まっていなければ活用できません。運用のルールを事前に決めておきましょう。

  1. 保管場所と鍵の管理者を決める(管理者が不在でも開けられるよう、複数人で鍵を管理)
  2. 配布の担当と手順を決める(人数の把握、配布の記録)
  3. 備蓄品の一覧(品目・数量・保管場所・期限)を作成し、紙とデータの両方で保管する
  4. 災害時の初動(安否確認、けが人の対応、備蓄品の配布)の役割分担を決める
ここがポイント

備蓄品を複数の場所に分散して保管すると、一部の保管場所に近づけない状況でも対応できます。フロアが複数ある場合は、各フロアに最低限の備蓄を置くのが安心です。

被害を減らすオフィスの備え

備蓄と合わせて、そもそも被害を小さくするための備えも重要です。オフィスの中で起きやすい被害と対策を整理します。

被害 対策
背の高い収納の転倒 壁や床への固定、上下の連結。重い物は下段に収納する
複合機やキャビネットの移動 キャスターのロック、固定器具の取り付け
ガラスの飛散 飛散防止フィルムの貼付
通路の閉塞 転倒した家具が通路をふさがない配置にする
棚上の物の落下 棚の上に物を置かない、落下防止の工夫
ここがポイント

定期的な防災訓練では、避難経路の確認だけでなく、備蓄品の保管場所と配布手順の確認も合わせて行うと、運用ルールが定着しやすくなります。年に一度は備蓄品の中身と期限、在籍人数の変化を見直しましょう。

よくある質問

Q. 期限が近づいた備蓄品はどうすればよいですか?

防災訓練の際に試食・配布して、実際に使ってみる機会にするのがおすすめです。使い方を知っておくことで、災害時にも落ち着いて対応できます。期限切れの廃棄を減らすため、入れ替えの時期をそろえておくと管理しやすくなります。

Q. 保管スペースが限られている場合はどうすればよいですか?

デスクの下や収納の上段・下段のすき間、個人ロッカーへの分散保管など、複数の場所を組み合わせる方法があります。個人単位でセットにして配布しておくと、災害時の配布の手間も省けます。

Q. 備蓄品の量はどのくらいの頻度で見直すべきですか?

少なくとも年に一度、在籍人数の変化や期限の確認とあわせて見直すのが一般的です。移転や増員、組織変更があったときにも見直してください。

備蓄の量の目安は、自治体の条例や指針によって示されている場合があります。お住まいの地域の情報もご確認ください。

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