オフィスの電気容量とコンセント計画

オフィスの電気容量とコンセント計画|必要な回路数の考え方と、ブレーカーが落ちる原因

「電子レンジとコーヒーメーカーを同時に使うとブレーカーが落ちる」「デスクの下が延長コードだらけ」――電気の悩みは、オフィスでよく聞く困りごとです。

この記事では、オフィスの電気容量とコンセント計画の基本を解説します。

後半では、電気容量の確認方法、専用回路が必要な機器、床配線の方式、ブレーカーが落ちたときの対応手順、移転時のスケジュールまで、総務担当者が知っておきたい実務を解説します。

結論

コンセントは1回路あたり最大1,500W程度が目安で、複数のコンセントが1つの回路を共有しています。複合機・電子レンジ・電気ポットなど消費電力の大きい機器は専用回路にし、デスクまわりは1島ごとに回路を分けるのが基本です。

デスクの島ごとに電源を取り出すと、配線がすっきりする
デスクの島ごとに電源を取り出すと、配線がすっきりする

回路とブレーカーの基本

壁や床のコンセントは、分電盤にある複数のブレーカー(回路)に分かれてつながっています。一般的な回路は20A(100Vで約2,000W)で、安全のため実際には1,500W程度までに抑えて使います。同じ回路につながったコンセントで消費電力の大きい機器を同時に使うと、ブレーカーが落ちます。

機器ごとの消費電力の目安

機器 消費電力の目安 回路の考え方
ノートPC 30〜100W 1回路で多数接続できる
デスクトップPC+モニター 150〜400W 島ごとに回路を分ける
複合機 1,000〜1,500W(起動時) 専用回路
電子レンジ 1,000〜1,500W 専用回路
電気ポット・コーヒーメーカー 700〜1,300W 専用回路が望ましい
シュレッダー 200〜600W 複合機と同じ回路は避ける
カフェスペースは家電が集中するため、専用回路を計画する
カフェスペースは家電が集中するため、専用回路を計画する
デスクのレイアウトと電源の取り出し位置はセットで決める
デスクのレイアウトと電源の取り出し位置はセットで決める
壁面の情報コンセント
壁面の情報コンセント

コンセント計画の進め方

  1. 使う機器の一覧と消費電力を出す
  2. デスクのレイアウトを決め、島ごと・席ごとのコンセント数を決める
  3. 消費電力の大きい機器の置き場所を決め、専用回路を用意する
  4. 分電盤に空きの回路があるか、ビル全体の電気容量に余裕があるかを確認する
  5. 将来の増設に備えて、予備の回路を確保する
ここがポイント

分電盤の容量を増やす工事は、ビル側の設備(B工事)になることがあります。移転先を選ぶ段階で、テナントに割り当てられた電気容量を確認しておきましょう。

電気容量は「3つの段階」で確認する

オフィスの電気容量が足りるかどうかは、ひとつの数字だけでは判断できません。電気は建物全体から各フロア、各区画、各回路へと分かれて届くため、どの段階で制約があるかを確認する必要があります。

段階 確認する内容 確認先
建物・フロア ビル全体やフロアに供給できる電気の上限、テナントあたりの割当 ビル管理会社・貸主
区画(分電盤) テナント区画の分電盤の主幹ブレーカーの容量、回路数、空き回路の有無 分電盤の表示、竣工図、電気工事業者
回路 1回路あたりの容量と、その回路にどの機器がつながっているか 分電盤の回路表示、現地調査
ここがポイント

「回路ごとの容量は足りているのに、全体の主幹ブレーカーが落ちる」「区画の容量は十分なのに、特定の回路だけが落ちる」といった現象は、どの段階に問題があるかで対策が異なります。まず分電盤の写真を撮り、回路の表示を確認することから始めましょう。

専用回路を検討すべき機器

消費電力が大きい機器や、停止すると業務に影響が大きい機器は、他の機器と回路を共有せず、専用の回路を設けるのが一般的です。専用回路にすることで、他の機器の影響でブレーカーが落ちるリスクを減らせます。

機器 専用回路を検討する理由
複合機・大型プリンター 起動時やウォームアップ時に大きな電力を使う
電子レンジ・電気ポット・コーヒーメーカー 短時間に大きな電力を使い、同時使用でブレーカーが落ちやすい
サーバー・ネットワーク機器 停止すると業務全体に影響する。無停電電源装置の設置も合わせて検討
冷蔵庫・自動販売機 常時通電しており、他の機器のトラブルで止まると困る
個別の空調機・電気暖房 消費電力が大きく、季節によって負荷が変動する
ここがポイント

給湯スペースの家電は、同じ時間帯(昼休み前後)に一斉に使われることが多く、ブレーカーが落ちる原因の上位に挙がります。家電ごとに回路を分けるか、同時に使わない運用ルールを決めておくと安心です。

OAフロアの敷設状況
OAフロアの敷設状況

床配線の方式と選び方

執務エリアのデスクに電源やLANを届ける方法には、いくつかの方式があります。建物の床の構造や、レイアウト変更の頻度によって適した方式が変わります。

方式 特徴 向いているケース
OAフロア(二重床) 床下に自由に配線でき、取出口の位置を変えやすい レイアウト変更が多いオフィス。現在の一般的な方式
フロアダクト 床に埋め込まれたダクトから配線を取り出す 既存の建物で採用されている場合。取出位置が限定される
床上配線(配線モール) 床の上に配線カバーを敷いて配線する OAフロアがない物件。つまずきや見た目への配慮が必要
天井からの配線(ポール) 天井裏から柱状のポールで配線を下ろす 床に手を加えられない場合の選択肢
ここがポイント

OAフロアには、床下の高さ(配線スペースの深さ)に違いがあります。高さが低いと配線量が多い場所で収まりきらないことがあるため、物件選びの段階で確認しておくと安心です。

ブレーカーが落ちたときの対応手順

  1. 落ちたブレーカーを特定する:分電盤を開け、どの回路(または主幹)が落ちたかを確認する
  2. 原因となった機器を推定する:直前に使い始めた機器、同時に使っていた機器を確認する
  3. 機器の電源を切る、またはプラグを抜く:負荷を減らした状態にする
  4. ブレーカーを戻す:レバーを上げて通電を確認する
  5. 機器を1台ずつ戻す:どの組み合わせで落ちるかを確認する
  6. 繰り返し落ちる場合は使用を中止する:漏電や機器の故障の可能性もあるため、ビル管理会社や電気工事業者に連絡する
ここがポイント

漏電ブレーカーが落ちた場合は、単なる容量オーバーではなく、機器や配線の異常が疑われます。原因がわからないまま何度も戻すことは避け、専門業者に点検を依頼してください。また、サーバーなどの重要機器がつながる回路は、復旧手順をあらかじめ文書化しておくと、担当者不在時にも対応できます。

移転・増設時のスケジュールと注意点

電気工事は、内装工事の中でも早い段階で計画を固める必要がある工事です。コンセントの位置や回路の数は、家具レイアウトが決まらないと確定できない一方で、床や壁を仕上げた後に変更すると手間とコストが増えるためです。

  • レイアウト図をもとに、デスク・複合機・家電・サーバーなどの機器リストと設置位置を作成する
  • 機器リストから必要な回路数と容量を算出し、電気工事業者に確認する
  • 容量が不足する場合は、ビル側との協議(容量の追加や増設工事の可否)に時間がかかることがあるため、早めに相談する
  • 電話・LAN・入退室管理・防犯設備など、弱電の配線も同じタイミングで計画する
  • 工事後は、分電盤の回路表示を実際の配置に合わせて更新しておく
ここがポイント

電気工事は、資格を持つ電気工事業者に依頼する必要があります。延長コードやテーブルタップを増やして対応するのは一時的な措置にとどめ、恒常的に不足している場合は回路の増設を検討してください。

よくある質問

Q. テーブルタップをつないで使うのは問題ありますか?

テーブルタップには使用できる上限の容量が定められています。上限を超えて機器をつなぐと発熱の原因になるため、つなぐ機器の合計を確認してください。タップを数珠つなぎにする使い方や、ほこりがたまりやすい場所での長期使用も避けるのが基本です。

Q. 電気容量が足りない場合、ビル側で増やしてもらえますか?

建物の設備や契約によって対応は異なります。区画の容量を増やせる場合もあれば、建物全体の上限があり難しい場合もあります。移転先を検討する段階で、必要な容量をビル管理会社に伝えて確認しておくと安心です。

Q. 分電盤の回路表示がわかりにくい場合はどうすればよいですか?

電気工事業者に依頼して、回路ごとにどのコンセントや照明につながっているかを調査し、表示を書き直してもらうのがおすすめです。トラブル時の対応が早くなるほか、レイアウト変更時の計画も立てやすくなります。

この記事の数値や内容は一般的な目安です。建物の条件や働き方、法令・ビルの規定によって最適な答えは変わります。

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