オフィスづくりのコンセプトの決め方|困りごとから考える3つのステップ
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オフィスづくりの最初に「コンセプトを決めましょう」と言われても、何から考えればよいか戸惑う方は多いのではないでしょうか。
この記事では、オフィスのコンセプトを決めるための具体的なステップを解説します。
後半では、コンセプトづくりを進める体制とスケジュール、社員アンケートの設計、コンセプトをレイアウトや家具に落とし込む方法、よくある失敗、入居後の検証まで、コンセプトを「絵に描いた餅」で終わらせないための実務的なポイントを詳しく解説します。
コンセプトは、①今のオフィスの困りごとを書き出す ②それを解決した「目指す姿」を言葉にする ③一文のキーワードにまとめるの3ステップで決めます。完成したコンセプトは、レイアウトや家具を選ぶときに迷ったときの判断基準になります。

ステップ1:困りごとを書き出す
- 会議室がいつも足りない
- 部署間の会話が少ない
- Web会議の声が響く
- 書類や物があふれている
- 来客に見せたいオフィスになっていない
- 採用で会社の魅力を伝えにくい
経営層だけでなく、社員にもアンケートやヒアリングで意見を聞くと、現場の本当の困りごとが見えてきます。
ステップ2:目指す姿を言葉にする
| 困りごと | 目指す姿 |
|---|---|
| 会議室が足りない | いつでもすぐに集まって話せるオフィス |
| 部署間の会話が少ない | 偶然の出会いから新しいアイデアが生まれるオフィス |
| 集中できない | 集中と交流を自分で選べるオフィス |
| 会社の魅力が伝わらない | 来た人が会社の考え方を感じられるオフィス |


ステップ3:一文のキーワードにまとめる
目指す姿をまとめて、短い言葉にします。たとえば「つながる・選べる・伝わるオフィス」のように、覚えやすく、社員が共有できる言葉が理想です。
コンセプトが決まったら、「このエリアはコンセプトのどれを実現する場所か」を図面に書き込んでいくと、レイアウトや家具の選択に一貫性が生まれます。
プロジェクトの体制づくり
コンセプトづくりは、総務担当者だけで進めると、現場の実態や経営の方針とずれてしまうことがあります。立場の異なるメンバーで進めることが大切です。
| 役割 | 主な担当 | 関わり方 |
|---|---|---|
| 経営層 | 会社の方向性、投資の判断 | 初期の方針決定と、節目での承認 |
| プロジェクト事務局 | 進行管理、社内調整 | 総務・人事・情報システムなどから選出 |
| 各部署の代表 | 現場の困りごとの吸い上げ | ワークショップへの参加、社内への共有 |
| 外部の専門家 | 調査、設計、提案 | 客観的な視点と事例の提供 |
各部署の代表には、声の大きい人だけでなく、若手や中途入社の社員など、さまざまな立場の人を入れると、偏りのない意見が集まります。

社員アンケートの設計のコツ
アンケートは、聞き方によって得られる情報が大きく変わります。「今のオフィスに満足していますか」だけでは、具体的な改善につながりません。
- 1日の業務の時間配分(集中作業、会議、Web会議、外出など)を聞く
- 困っている場面を、具体的な状況で答えてもらう(例:「集中したいときに困ること」)
- 自由記述欄を設けつつ、選択式で回答しやすくする
- 回答の負担を減らすため、設問数は絞る
- 部署・職種別に集計できるよう、属性を聞いておく
アンケートの結果は、社員にも共有すると、プロジェクトへの関心と参加意識が高まります。
コンセプトを空間に落とし込む方法
- コンセプトのキーワードごとに、それを実現する場所や仕掛けを書き出す
- エリアごとに「どのキーワードを担う場所か」を決め、ゾーニング図に書き込む
- 家具・内装・色・素材を、コンセプトとの関係で選ぶ
- 迷ったときは「コンセプトに近いのはどちらか」で判断する
- 完成後、社員に向けてコンセプトと空間の意図を説明する
例えば「つながる」をキーワードにするなら、部署の境目にある共用スペースや、自然と人が通る動線上のカフェなどが、それを形にする場所になります。
よくある失敗と対策
| 失敗例 | 原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 言葉が抽象的すぎて判断に使えない | どのオフィスにも当てはまる言葉になった | 自社の困りごとと結び付けて言葉を選ぶ |
| 見た目だけが変わり、働き方が変わらない | 運用ルールや制度とセットで考えていない | 人事・情報システム部門も巻き込む |
| 社員に浸透しない | 一部の人だけで決めた | プロセスを共有し、社員の声を反映する |
| 途中で方針がぶれる | 判断基準が共有されていない | コンセプトを資料の冒頭に毎回掲げる |
入居後の検証と見直し
オフィスは完成したら終わりではありません。入居後に、コンセプトが実現できているかを確認し、必要に応じて調整します。
- 入居後しばらくしてから、入居前と同じ設問でアンケートを行い、変化を比べる
- エリアごとの利用状況を観察し、使われていない場所の原因を探る
- 小さな改善(家具の配置、サイン、ルール)を継続的に行う
入居前後で同じ質問を使うと、変化を比較しやすくなります。アンケートは最初から「検証にも使う」前提で設計しておきましょう。
ワークショップの進め方の例
- 困りごとを付せんに書き出し、似たものをグループにまとめる
- グループごとに「解決したらどうなるか」を話し合う
- 出てきた「目指す姿」に優先順位をつける
- 上位の目指す姿をもとに、キーワードの候補を出し合う
1回で決めきろうとせず、候補を持ち帰って社内の反応を見ながら絞り込むと、納得感の高いコンセプトになります。
よくある質問
Q. コンセプトづくりにはどのくらいの期間がかかりますか?
規模や関わる人数によりますが、調査・ワークショップ・取りまとめを含めて、数週間から数か月程度かけることが一般的です。移転や改装のスケジュールから逆算して、早めに着手することをおすすめします。
Q. 小さなオフィスでもコンセプトは必要ですか?
必要です。規模が小さいほど、限られた面積と予算で何を優先するかの判断が重要になります。コンセプトがあると、その判断がしやすくなります。
Q. コンセプトはデザインのテーマと同じですか?
似ていますが、コンセプトは「どんな働き方や会社の姿を目指すか」を表すもので、デザインのテーマはそれを表現する手段の一つです。まず目指す姿を決め、そのうえで雰囲気や色を決めるのが一般的な順序です。
この記事の数値や内容は一般的な目安です。建物の条件や働き方、法令・ビルの規定によって最適な答えは変わります。


