オフィスの停電対策・BCP

オフィスの停電対策・BCP|非常用電源・UPS・備えておきたい設備

大規模な停電や災害が起きたとき、業務をどのように続けるか、早く再開するかを考える計画をBCP(事業継続計画)と呼びます。

この記事では、オフィスの電源まわりを中心に、BCPのための備えを解説します。

後半では、必要な電源容量と稼働時間の見積もり方、停電時の初動手順、平常時の点検と訓練、規模別の備え方、よくある失敗例まで、停電に強いオフィスをつくるための実務のポイントを詳しく解説します。

結論

停電時にまず守るべきは、サーバー・ネットワーク機器・電話の主装置など、止まると業務全体に影響する機器です。これらにはUPS(無停電電源装置)を設け、安全に停止できるようにします。長時間の停電に備えるなら、ビルの非常用発電機の供給範囲や、ポータブル電源の準備も検討します。

重要な機器は、停電時の電源確保を計画しておく
重要な機器は、停電時の電源確保を計画しておく

電源の備えの種類

設備 役割 持続時間の目安
UPS(無停電電源装置) 停電の瞬間も電源を途切れさせず、安全に停止する時間をつくる 数分〜数十分
ポータブル電源・蓄電池 ノートPC・スマートフォン・照明などの最低限の電源 数時間程度
非常用発電機(ビル設備) ビルの一部の設備・コンセントに電源を供給 数時間〜数日(燃料による)

優先して守る機器

  1. サーバー・ネットワーク機器(データの保護と通信の確保)
  2. 電話の主装置・通信機器
  3. 入退室管理(停電時の扉の動作を確認)
  4. 重要な業務のPC
ここがポイント

電気錠は、停電時に「解錠する」か「施錠を保つ」かの設定があります。避難を優先する扉と、防犯を優先する扉で設定を確認しておきましょう。

災害時の対策本部として使う会議室を決めておく
災害時の対策本部として使う会議室を決めておく
テレワークとの組み合わせも、事業継続の手段になる
テレワークとの組み合わせも、事業継続の手段になる

ビルの設備を確認する

  • 非常用発電機があるか、テナントにどの範囲で電源が供給されるか
  • 非常用エレベーター・非常照明の稼働時間
  • 給水(停電で水が止まる建物もある)
  • 空調の停止と、サーバーの熱対策

電源の備えとあわせて、データのバックアップ(クラウドや別拠点)や、テレワークで業務を続けられる体制を整えておくと、オフィスが使えない場合にも事業を継続しやすくなります。

必要な容量と稼働時間の見積もり方

非常用電源を検討するときは、「どの機器を」「どのくらいの時間」動かしたいのかを先に決めることが大切です。容量だけを大きくすると費用がかさみ、逆に小さすぎると肝心なときに機器が止まってしまいます。

  1. 停電時に動かしたい機器をリストアップする
  2. 各機器の消費電力を、本体の表示や仕様書で確認する
  3. 必要な稼働時間を決める(安全に停止するまでの数分か、業務を続ける数時間か)
  4. 起動時に一時的に大きな電力が必要な機器がないかを確認する
  5. 合計の電力と時間から、必要な容量に余裕を持たせて選定する
ここがポイント

サーバーなどは、長時間動かし続けるよりも「安全にシャットダウンするまでの時間を確保する」ことを目的にすると、必要な容量を抑えられます。

床のコンセント・配線取り出し口
床のコンセント・配線取り出し口

停電時の初動手順を決めておく

停電はいつ起きるかわかりません。担当者が不在でも対応できるよう、初動の手順を文書にまとめ、関係者で共有しておきます。

  1. 停電の範囲を確認する(自社のみか、フロア・ビル全体か、地域全体か)
  2. ビル管理会社の案内や、電力会社の情報を確認する
  3. 非常用電源で動いている機器と、残り時間を確認する
  4. 必要に応じてサーバーや重要機器を安全に停止する
  5. 社員の安全確保と、業務継続・帰宅の判断を行う
  6. 復旧時は、機器を順番に起動し、正常に動作しているかを確認する

復電時には、一斉に機器の電源が入ることで電力が集中したり、機器に負担がかかったりすることがあります。起動の順番も手順に含めておくと安心です。

平常時の点検と訓練

項目 内容 頻度の目安
無停電電源装置の点検 バッテリーの状態と、警告表示の有無を確認 定期的に
バッテリーの交換 劣化の状況に応じて計画的に交換 使用環境と製品の推奨に従う
ポータブル電源の充電 満充電を保ち、動作を確認 数か月ごと
停電訓練 手順書に沿って初動を確認 年1回程度

バッテリーは使わなくても劣化します。いざというときに動かなかったというケースは少なくありません。導入時期を台帳に記録し、交換時期を管理することが重要です。

規模別の備え方の考え方

  • 小規模オフィス:ネットワーク機器と重要なパソコンを無停電電源装置で守り、ポータブル電源で通信手段を確保する
  • 中規模オフィス:サーバーやネットワークの中核機器を集中的に守り、停電時の業務継続範囲を部署ごとに決める
  • 大規模オフィス・重要拠点:ビルの非常用発電設備の供給範囲を確認し、専用の電源回路や燃料の確保も含めて検討する
ここがポイント

クラウドサービスを中心に業務をしている場合は、オフィスの電源よりも、社員が自宅や別拠点から業務を続けられる体制のほうが重要になることもあります。

よくある失敗例と対策

  • バッテリーが劣化していて停電時に動かなかった:交換時期を台帳で管理し、警告表示を見逃さない
  • 無停電電源装置にプリンターなど不要な機器までつないでいた:守る機器を限定し、容量を確保する
  • 停電後にサーバーが正常に起動しなかった:自動で安全に停止する設定と、復旧手順を事前に確認する
  • 非常用電源のコンセントがどれかわからなかった:色やラベルで識別できるようにしておく

停電時の照明・通信・空調への備え

停電時には、パソコンやサーバー以外にも、照明・通信・空調が止まることで業務や安全に影響が出ます。電源の備えとあわせて、次の点も確認しておきましょう。

  • 非常照明の点灯範囲と時間を確認し、暗くなる場所には懐中電灯などを備える
  • 電話や通信回線が停電時に使えるかを確認し、携帯電話での連絡手段を確保する
  • 夏や冬の長時間停電では、空調が止まった場合の帰宅・待機の判断基準を決めておく
  • エレベーターが止まる可能性を考え、高層階からの移動や物資の運搬方法も検討する

よくある質問

Q. ポータブル電源はオフィスでどのように使えますか?

停電時のスマートフォンやノートパソコンの充電、通信機器の電源確保などに役立ちます。容量と出力を確認し、普段から充電しておくことが大切です。

Q. ビルの非常用発電機があれば、自社の備えは不要ですか?

ビルの非常用発電機は、防災設備やエレベーターなど共用の設備への供給が中心で、テナントの専用部には供給されないことが多いです。供給範囲をビル管理会社に確認してください。

Q. 無停電電源装置はどこに置けばよいですか?

守りたい機器の近くで、熱がこもらず点検しやすい場所に置きます。床置きの場合は、水濡れや足元のケーブルの引っかけにも注意しましょう。

この記事の数値や内容は一般的な目安です。建物の条件や働き方、法令・ビルの規定によって最適な答えは変わります。

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