テレビ・BGM・有線放送を入れるときのビルのルール|カットリレーと非常放送
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エントランスやラウンジにBGMを流したい、会議室や休憩室でテレビを見られるようにしたい、ショールームで映像を流したい――オフィスでもこうした要望は珍しくありません。ところがビルの中では、テレビの電波や音響の設備も、ビル全体の設備と関係しています。
特にBGMなどの放送設備は、火災時の非常放送と深く関わるため、指針書で必ずルールが定められています。ここでは、テレビとBGMを導入するときの代表的なルールを解説します。
BGMや館内放送のアンプの電源は、非常放送時に自動で電源を切る「カットリレーコンセント」から取るのが必須で、非常放送用スピーカーをBGMに流用することはできません。テレビはEPS内の分配器までがビル側、そこから区画内がテナント工事というのが一般的な区分です。
なぜ放送設備にルールがあるのか
ビルには、火災などの緊急時に避難を呼びかけるための非常放送設備が設けられています。天井のスピーカーから「火災が発生しました」と放送が流れたとき、同じ部屋で大音量のBGMが流れていたら、放送が聞き取れず避難が遅れてしまいます。
そのため消防法の考え方に基づき、テナントが独自に設けるBGMや館内放送は、非常放送が流れると自動的に止まる仕組みにしておく必要があります。この仕組みがカットリレーです。
BGM・館内放送とカットリレー
カットリレーとは、非常放送設備から信号を受けて、テナントの放送設備の電源や音声を遮断する装置です。ビルでは一般に、カットリレー用の信号線が共用EPS内まで用意されており、テナントの区画にカットリレーコンセントを設置して、そこからBGMアンプの電源を取ります。
| 項目 | 工事区分の例 |
|---|---|
| カットリレーの信号線(共用EPSまで) | A工事(ビル側で実装) |
| カットリレーコンセントの設置と信号線の接続 | B工事(ビル指定業者)。C1工事とするビルもある |
| アンプ・スピーカーの設置と配線 | C工事(テナント) |
指針書では「アンプの電源は必ずカットリレーコンセントに接続すること」と明記されています。カットリレーコンセントは、壁への埋込み、露出設置、床転がしなどが可能とする例もあります。BGM用のスピーカーは天井に新たに設けるか、ポータブルなものを使います。
非常放送スピーカーは流用できない
区画の天井に最初から付いているスピーカーは、非常放送用です。見た目は普通のスピーカーと同じですが、BGMや社内放送に流用することはできません。指針書でも「貸室内にある天井埋込スピーカーは非常放送用なので利用できない」「非常放送用スピーカーを兼用することは不可」と繰り返し書かれています。
また、間仕切りを天井まで立てて部屋を区切ると、非常放送が届かない部屋ができることがあります。非常放送のスピーカーは、一般に半径10mの範囲をカバーするよう配置する基準があり、間仕切りによってはスピーカーの増設・移設(B工事)と消防への届出が必要になります。
テレビ(地上波・BS/CS・ケーブルテレビ)
ビルのテレビ共聴設備は、屋上のアンテナやケーブルテレビ回線から各階のEPS内の分配器まで、ビル側で用意されているのが一般的です。分配器からテナントの区画までの配線とテレビ端子の設置はテナント工事(C工事)になります。EPSから区画までは、通路天井内のケーブルラックに共架するよう指定されることがあります。
CS放送などを受信したい場合は、屋上にパラボラアンテナの設置スペースが用意されているビルもあります。ただしスペースには限りがあり、架台の利用料が月額でかかる、アンテナから区画までの配管・配線をビル指定業者が施工する、といった条件が付きます。受信契約は、テナントが放送事業者と直接結びます。
有線放送・音楽配信
有線放送を利用する場合、テレビ共聴設備の回線を利用して配信する方式のビルでは、分配器以降の配線とチューナーの取付けがテナント工事になり、契約は放送事業者と直接結びます。インターネット経由の音楽配信サービスを使う場合は、テレビ共聴とは関係なく、ネットワーク機器とアンプの設置だけで済みます。
どの方式でも、アンプの電源をカットリレーコンセントから取るというルールは同じです。店舗でBGMを流す場合は、楽曲の著作権の手続きも別途必要になる点に注意しましょう。
音量・音漏れへの配慮
BGMやスピーカーの音は、壁や天井を通して隣の区画や共用廊下に伝わります。ビルでは、一定以上(例:70dB以上)の騒音や振動を発生させる部屋や機器は、計画時に協議し、防音・防振対策を講じるよう求めています。ショールームでのデモ音響や、研修室のマイク音声も同様です。
大型ディスプレイや映像機器を壁に取り付ける場合は、A工事の壁や柱に直接固定できないことが多いため、C工事で下地を組むか、自立スタンドを使います。テレビ会議システムのスピーカーも、音漏れしやすい位置に置かないよう配慮しましょう。
デジタルサイネージや会議室の映像設備
受付のデジタルサイネージや会議室の大型ディスプレイは、音声を出さない、あるいは室内だけで完結するものであれば、カットリレーの対象外となることが多いです。ただし、天井スピーカーを新設して館内放送のように使う場合や、ロビーで来客向けに音声を流す場合は、BGMと同じ扱いになる可能性があります。音を出す機器を導入するときは、設計段階で「放送設備に当たるか」を内装監理室に確認しておくと安心です。
また、映像機器の電源やLANを壁に設ける場合、A工事の区画壁にコンセントを埋め込むことは禁止されていることが多く、手前にC工事の壁を設けるなどの工夫が必要です。
導入前のチェックリスト
- BGM・館内放送を使う部屋と機器を洗い出した
- カットリレーコンセントの設置区分と費用を確認した
- 天井の非常放送スピーカーを流用しない計画にした
- 間仕切りによる非常放送スピーカーの増設要否を確認した
- テレビ共聴の分配器の位置と配線ルートを確認した
- CSアンテナや有線放送の利用条件・費用を確認した
- 音量・音漏れ対策と機器の固定方法を決めた