工事中の電源・水道・空調の使い方|共用部コンセント禁止と排水のルール
共有
工事中の現場では、電動工具の電源、作業用の照明、清掃用の水などが欠かせません。しかし契約した区画だからといって、ビルの設備を自由に使えるわけではありません。共用部のコンセントや給湯室の流しを無断で使い、管理側から注意を受けるケースはよくあります。
ここでは、工事中の電源・水道・空調・照明について、ビルの指針書に共通するルールと費用の考え方を整理します。
工事用電源は区画のEPS内分電盤から取るか、ビル指定業者が仮設電源を設けるのが一般的で、共用部のコンセントは使用禁止です。水は指定のSKや立水栓のみ、塗料などの洗い水は持ち帰り。工事中の光熱費はテナント負担、または現場共益費に含まれるのが通常です。
本設設備は自由に使えない
入居工事の時期は、ビルの設備がまだテナントに引き渡されていなかったり、B工事で設備の改修が並行していたりします。また工事中の粉じんや塗料のミストは、空調機やフィルター、排水管を傷めます。そのため指針書には「工事期間中は本設建物内の設備を一切使用できない。当社が指定した設備を利用すること」といった記載が見られます。
何が使えて何が使えないかはビルごとに違うため、着工前の打合せで確認することが大切です。
工事用電源の取り方
工事用電源の取り方は、主に次の3パターンです。
| 方法 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 区画の分電盤から取る | 専有部(テナントEPS)の分電盤から仮設で電源を取る | 容量やブレーカーの空きを確認。他区画にまたがる配線は避ける |
| 既設コンセントを使う | 区画内の清掃用コンセントなどを使用 | 容量が小さく、大型工具を同時に使うと落ちやすい |
| 指定業者の仮設電源 | ビル指定の設備会社が仮設盤を設置 | 設置費用が発生。商業施設に多い |
どの場合も、共用部のコンセントは使用禁止とするビルが大半です。共用廊下の壁にある清掃用コンセントは便利な場所にありますが、ビルの清掃業務用の回路であり、工事で使うとブレーカーが落ちて共用部の機器に影響することがあります。また主開閉器(メインブレーカー)の入切は勝手に行わず、必ずビルの設備担当者に申し出るよう定められています。
工事用電源の容量にも注意が必要です。コンプレッサーや大型の電動工具、溶接機(火気使用の許可が別に必要)などを同時に使うと、区画の分電盤の容量を超えることがあります。必要な容量が大きい場合は、事前に管理側と相談して仮設電源を用意してもらいます。
電気の安全ルール
- 漏電対策:電動工具は使用前点検を行い、漏電遮断器付きの延長コード(通称「ビリビリガード」)などを介して使うよう求める指針書が多くあります。
- 作業用照明は自前:区画内に工事用照明は用意されていないため、施工会社が投光器などを準備します。照度不足のまま作業しないことも安全ルールの一つです。
- 活線作業の禁止:電気工事は電源を遮断して安全を確認してから行い、完了後は絶縁測定を行います。
- 仮囲いの照明:商業施設では、仮囲いの外側に設ける仮設照明を指定業者が設置する例もあります。
工事用水と排水
工事で使う水は、ビルが指定した場所からしか取れないのが一般的です。地下のゴミ庫の立水栓、各階のSK(掃除用流し)、パントリー横の流しなどが指定され、「その他の給排水設備は一切使用できない」とされることもあります。トイレの手洗い器で道具を洗うのは厳禁です。
排水については、セメント、塗料、左官材、クロス糊などを流すことは禁止で、洗い水は産業廃棄物として持ち帰るのが原則です。水を使う作業が多い場合は、ポリタンクや洗浄用の容器を施工会社が準備する必要があります。
空調・照明はどうなるか
工事中の空調は、ビルによって扱いが分かれます。空調機を運転すると粉じんを吸い込んでしまうため、工事中は停止させ、必要に応じて送風機などで換気する現場もあります。一方、夏場や冬場の作業では、時間外空調の申請(有料)で運転してもらうこともあります。夜間工事の場合、ビル全体の空調は停止している時間帯なので、作業環境について施工会社と事前に相談しておきましょう。
照明も、ビルの照明制御(スケジュール消灯や最終退出連動)で自動的に消える場合があります。工事中は作業用照明で対応するのが基本です。
費用はだれが負担するか
工事中の電気・水道の費用は、テナント負担とするのが一般的です。区画のメーターで計量されて賃料等と一緒に請求される場合もあれば、「現場協力金」「現場共益費」として電気・水道・揚重などの施設利用料を一括で請求される場合もあります。
仮設電源の設置費、時間外空調の運転費は別途になることが多いため、見積の段階で「工事中の光熱費・仮設費は誰が負担するか」を施工会社と取り決めておくと、後の精算がスムーズです。
引渡し後の小工事・レイアウト変更でも同じ
入居後に行う小規模なレイアウト変更や、電気・LANの追加工事でも、ルールは基本的に同じです。営業中のオフィスで作業する場合、つい社内のコンセントや給湯室を使いたくなりますが、次の点には注意しましょう。
- 社内のOAコンセントに大型工具をつなぐと、同じ回路のパソコンやサーバーが停電する恐れがある
- 給湯室の流しで刷毛やローラーを洗うと、排水管の詰まりや臭気の原因になる
- 夜間・休日の作業では空調が止まっていることが多く、塗装や接着剤の臭いがこもりやすい
- 照明のスケジュール消灯で、作業中に真っ暗になることがある
小さな工事でも作業届が必要なビルは多く、電源や水の使い方もその中で確認されます。社内で業者を手配するときは、ビルのルールを業者に伝えるところまでを総務の仕事と考えておくと安心です。
確認チェックリスト
- 工事用電源の取り出し場所と容量を確認した
- 共用部コンセントの使用可否を確認した(原則禁止)
- 漏電対策と作業用照明の準備を施工会社と確認した
- 工事用水の取水場所と、洗い水の持ち帰り方法を確認した
- 工事中・夜間の空調運転の可否と費用を確認した
- 光熱費・仮設費の負担区分を見積条件に明記した