停電・断水・設備停止を伴う工事の申請|切替え作業と感知器養生のルール

停電・断水・設備停止を伴う工事の申請|切替え作業と感知器養生のルール

内装工事の中には、ビルの設備を一時的に止めなければできない作業があります。分電盤の増設や幹線の接続、給排水管の接続、空調機の増設、防災設備の移設などです。こうした作業は、自社の区画だけでなく、同じ系統につながる他の入居者や共用部にも影響する可能性があります。

そのため多くのビルでは、設備の停止や切替えを伴う作業を特別に扱い、事前の届出と管理側の立会いを求めています。ここでは、その代表的なルールを解説します。

結論

停電・断水・空調停止・防災設備の停止を伴う作業は「既存設備の停止・切替え届」などで事前に申請し、ビル側の設備担当者の立会いのもとで行うのが原則です。他の入居者への影響を避けるため、夜間・休日に限定されることが多く、日程は早めに押さえる必要があります。

「止める作業」はビル全体に影響する

ビルの電気・給排水・空調・防災設備は、フロアや系統ごとにつながっています。たとえば幹線の接続で停電が必要になると、同じ盤から電源を取っている他の区画まで止まることがあります。給水の接続で断水すれば、同じ系統のトイレや給湯室が使えなくなります。

そのため指針書には「主開閉器盤の入切は勝手に行わず、必ず設備担当者に申し出て指示を仰ぐこと」「電源、バルブ、機械の運転停止等の操作は、原則として中央管理室に依頼すること」といった規定が置かれています。施工会社が自分の判断で設備を操作することは認められていません。

申請が必要になる作業の例

作業 止まるもの 主な注意点
分電盤の増設・幹線接続 電灯・コンセント・動力 同系統の他区画への影響、電気主任技術者の立会い
給排水管の接続 給水・排水 PS内のバルブ操作はビル側、接続後の漏水確認
空調機・冷媒管の増設 空調・熱源 中央監視との調整、季節による影響
感知器・スプリンクラーの移設 自動火災報知設備・消火設備 警戒の停止、消防への届出
セキュリティ・電気錠の切替え 入退室管理 警備システムとの連動、夜間の防犯

変電室内の作業は、ビルの電気主任技術者と事前に協議し、その立会いのもとで行うよう定めているビルもあります。

申請から実施までの流れ

  1. 計画段階で相談:どの設備をどの範囲・時間止めるのかを、管理側の設備担当者と相談します。
  2. 届出書の提出:「既存設備の停止・切替え届」などの様式で、着工7日前など指定の期限までに提出します。作業計画書の添付を求められることもあります。
  3. 日程の調整:停電・断水・防災設備の作業は、夜間・休日に限定されるのが一般的です。ビル側が他の入居者へ周知する期間も必要です。
  4. 当日の立会い:ビル側の設備担当者や指定業者が立会い、操作を行います。時間外の立会いは有料になることがあります。
  5. 復旧確認:作業後は設備が正常に戻ったことを確認し、電気工事では絶縁測定を行います。

指定業者が施工する設備工事は日中作業が基本でも、防災設備・断水・停電を伴う作業だけは夜間に行う、と定める商業施設もあります。

自動火災報知設備と感知器の養生

内装工事で特に注意したいのが、煙感知器の誤発報です。ボードの切断や研磨で出る粉じん、塗装のミスト、熱を伴う作業などで感知器が反応すると、ビル全体に火災警報が鳴り、他の入居者の避難や消防への通報につながることがあります。

そのため多くの指針書は、工事中は感知器を養生することを求めています。ただし養生したままでは火災を感知できないため、「感知器の養生は毎日設置・撤去すること」と、作業時間中だけに限定する規定が一般的です。自火報やスプリンクラーを停止する必要がある場合は、管理事務室への届出が必要です。

誤発報やトラブルでビルの社員や関係会社が緊急出動した場合、実費を請求すると定める指針書もあります。粉じんの多い作業では、局所的な集じんも検討しましょう。

ビル側の点検停電との関係

ビルでは、電気設備の法定点検のために年1回程度、全館または系統ごとの停電を行います。工事期間中にこの点検停電が予定されていると、作業ができない日が生じたり、ビル側から工程の変更を依頼されたりすることがあります。

逆に、ビルの点検停電の日に合わせてテナント側の切替え作業を行えば、停電の回数を減らせる場合もあります。年間の点検予定は早めに管理側に確認しておきましょう。

電源増強や幹線引込みは時間がかかる

サーバー室の新設や大型複合機・厨房機器の導入などで、ビルの基準容量(例:コンセント用で数十VA/㎡)を超える電源が必要になると、サブ電気室から専用の幹線を引き込む工事が必要になります。この工事はB工事として指定業者が行うのが一般的で、停電を伴う切替え作業が発生します。

ある指針書では「電源増強に伴い停電が必要となる場合は、実施までにかなりの期間を要する」と明記されていました。ケーブルや盤の製作期間に加え、停電日の調整、他テナントへの周知が必要になるためです。基準容量を超えた分には増量負担金がかかるビルもあります。電気容量の不足は、レイアウトが固まってから気付くと間に合わないことがあるため、物件選定や基本設計の段階で必要容量を見積もっておきましょう。

入居企業側の準備

入居後の工事で停電や設備停止がある場合は、自社の業務への影響も考えておく必要があります。

  • サーバー、ネットワーク機器、電話主装置を事前に正しくシャットダウンする
  • 冷蔵庫や医療機器など、電源が止まると困る機器を洗い出す
  • 電気錠やセキュリティの動作がどうなるかを確認し、施錠方法を決めておく
  • 復電後に機器が正しく立ち上がるか、確認する担当者を決める
  • UPSのバッテリー時間が停電時間に足りるか確認する

設備停止作業のチェックリスト

  • 停電・断水・空調停止・防災設備停止を伴う作業を洗い出した
  • 停止範囲と時間を設備担当者と確認した
  • 停止・切替え届の期限と様式を確認した
  • 夜間・休日の実施日と立会い費用を確認した
  • 感知器の養生方法(毎日設置・撤去)を施工会社と確認した
  • ビルの年次点検停電の予定を確認した
  • 自社機器のシャットダウンと復旧の手順を決めた

ビルの工事ルールの確認や、指針書に沿った工事計画・見積のご相談も承ります。

空間づくりを相談する法人見積を依頼する
ブログに戻る