工事の廃材・残材はどう処分する?|ビルのゴミ庫が使えない理由と搬出ルール
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内装工事では、ボードの端材、軽鉄の切れ端、梱包材、解体したガラ、古いカーペットなど、毎日かなりの量の廃材が出ます。ビルには立派なゴミ庫があっても、工事の廃材をそこに出すことは基本的にできません。
廃材の扱いを誤ると、ビルからの指摘だけでなく、廃棄物処理法上の問題にもつながります。ここでは、ビルの指針書に共通する廃材・残材のルールと、入居企業として確認しておきたい点を解説します。
工事で出る廃材は産業廃棄物として施工会社(元請)の責任で処分するのが原則で、ビルのゴミ庫や共用ゴミ箱は使えません。ビル内に資材置場はないため、廃材は毎日袋詰めして持ち帰るのが基本です。塗料やセメントの洗い水も排水に流さず持ち帰ります。
基本の考え方:排出者が責任を持つ
廃棄物処理法では、建設工事に伴って生じた廃棄物は、原則として元請業者が排出事業者として処理責任を負います。そのため指針書でも「建築廃棄物の運搬・処分は排出者責任とする(保管も含む)」「廃棄物処理法に従って処分すること」と書かれています。
処理を委託する場合は、収集運搬・処分の許可を持つ業者と委託契約を結び、産業廃棄物管理票(マニフェスト)を交付して最終処分まで確認する必要があります。指針書の中には、委託契約書の写しを現場に掲示するよう求めるものや、「監督官庁の認可を受け、マニフェストの交付を受けられる会社に手配すること」と処分先の条件を明記するものもあります。
一方、作業員の弁当ガラやペットボトルなどの一般ごみも、ビルのごみとして出すことは認められず「各社持ち帰り」とされるのが一般的です。工事に関係して出たものは、種類を問わずすべて施工会社が持ち出す、と考えておくと間違いがありません。
ビルが禁止していること
- ビルのゴミ庫・共用ゴミ箱への投棄:ビルのゴミ庫はテナントの事業系一般廃棄物などのためのもので、工事廃材は受け入れません。
- 共用部への仮置き:共用通路、荷捌き場、納品場への資材・廃材の仮置きや積み置きは禁止が一般的です。
- 区画内への長期保管:ビル内に資材置場や廃材置場はない、と明記されていることが多く、区画内に溜め込むのも防火上好ましくありません。
- 弁当ガラなどの混入・外部投棄:作業員の飲食ゴミを産業廃棄物に混ぜる、共用ゴミ箱や近隣のコンビニに捨てる行為も禁止されています。
搬出方法のルール
廃材を運び出すときにも、共用部を汚さないための決まりがあります。
- 廃材は可能な限り現場で袋詰めしてから搬出する
- 解体ガラはホコリが出ないよう袋に詰め、区画からバックヤードまでの経路はシートでトンネル状に養生する例もある
- 搬出経路はモップ掛けなどで毎日清掃する
- 産廃の搬出も搬入と同様に届出が必要で、届け出た日時・ルート・搬出ヤードで行う
- 粉じんの出る作業の後は、ブロアーなどで服の粉じんを区画内で落としてから外に出る
清掃状態が著しく悪い場合、ビル側が清掃を手配して費用を請求すると定めている指針書もあります。
商業施設や大型ビルで追加されるルール
多くのテナントが同時に工事をする大型ビルや商業施設では、廃材まわりのルールがさらに細かくなります。
- 搬出時間の指定:営業時間中は廃材を運び出せず、夜間の決められた時間帯だけ荷捌き場が使えるケースがあります。
- 当番制の清掃:荷捌き場や搬出入通路の清掃を、工事中のテナントの施工会社が当番制で担当する例があります。
- 搬出ルートの限定:ガラなど汚れやすい廃材は、来館者の動線と交わらないバックヤードルートに限定されます。
- 毎日の点検報告:作業終了時に残材の片付け・清掃・火災予防・防犯の点検結果を「作業終了点検表」で報告させる施設もあります。
これらは施工会社の作業量に直結するため、見積を依頼する段階で指針書を施工会社に渡し、条件を織り込んでもらうことが重要です。後から「聞いていなかった」となると、追加費用の原因になります。
洗い水・液体の扱い
意外に多いのが排水のトラブルです。塗料、左官材、クロスの糊、セメントなどを洗った水を、給湯室の流しやトイレに流すことは禁止されています。配管の詰まりや、排水処理上の問題になるためです。
指針書には「工事用排水は持ち帰り処理」「洗い水の排水設備はないので各自持ち帰り」と書かれているのが一般的です。工事用水を使える場所自体が、指定のSK(掃除用流し)や立水栓に限られていることも多くあります。
入居企業が確認しておきたいこと
廃材処理は施工会社の仕事ですが、入居企業としても次の点は確認しておきましょう。
- 見積に処分費が含まれているか:産廃処分費、運搬費、分別の手間が「別途」になっていないか。
- 既存内装の撤去範囲:前テナントの造作を引き継ぐ場合、どこまで撤去するかを解体業者と新しい施工会社で直接確認しておく必要があります。撤去範囲の誤りはビルが保証しない、と明記する例もあります。
- 不要家具・什器の処分:古い家具や事務機器は工事廃材とは別の扱いになることがあります。移転時の家具処分は、早めに方法と費用を決めておきます。
- マニフェストの確認:大規模な工事では、処理完了の確認として写しを受け取っておくと安心です。
- アスベスト等の有無:古い造作や床材を解体する場合は、事前調査の結果によって廃材の扱いが変わります。
なお、退去時の原状回復工事でも廃材の扱いは同じです。ビル指定業者が行う場合でも、テナントが残した家具や備品は別途処分を求められることがあるため、退去スケジュールの早い段階で整理しておきましょう。
廃材処理チェックリスト
- 指針書で廃材の扱い(持ち帰り・搬出届・搬出ヤード)を確認した
- 処分業者の許可と委託契約、マニフェスト運用を施工会社に確認した
- 見積に産廃処分費・運搬費が含まれていることを確認した
- 袋詰め・養生・清掃などの搬出方法を施工会社と共有した
- 洗い水の持ち帰りと工事用水の使用場所を確認した
- 既存造作の撤去範囲と、不要家具の処分方法を決めた