竣工図書の提出ルール|何を、いつまでに、どんな形式でビルに出すか

竣工図書の提出ルール|何を、いつまでに、どんな形式でビルに出すか

内装工事が終わり、消防検査も済んで入居準備に入ると、工事の書類のことは忘れられがちです。しかしビルの指針書には、工事完了後に「竣工図書」を提出するルールが必ずと言っていいほど書かれています。

竣工図書は、ビル側が建物の現況を把握するためだけでなく、入居企業にとっても、将来のレイアウト変更や退去時の原状回復の基準になる大切な資料です。ここでは、提出するものと形式、入居企業が手元に残しておくべきものを整理します。

結論

竣工図書は工事完了後1か月以内などの期限で、製本図面とCAD・PDFデータをセットで提出するのが一般的です。図面に加え、絶縁・風量の測定結果、防火・防炎認定書、シックハウス対策の資料、防火区画の工事写真などを完了時に提出します。同じものを自社でも保管し、将来の工事や原状回復に備えましょう。

竣工図書が必要な理由

ビルは何十年も使われ、その間にテナントは入れ替わり、内装は何度も作り替えられます。ビル側は、どの区画にどんな壁があり、どこに設備が追加されているかを把握していなければ、点検や修繕、次のテナントの工事、災害時の対応ができません。

入居企業にとっても、竣工図書は「自社が何を作ったか」の記録です。退去時の原状回復の範囲を決めるとき、レイアウト変更で配線ルートを探すとき、トラブルの原因を調べるときに必要になります。工事区分の定義でも、B工事・C工事の竣工図はテナントが作成して貸主に提出する、とされているのが一般的です。

提出物の一覧

区分 主な内容
竣工図 表紙、仕上表、平面図(家具・什器の配置を含む)、天井伏図、展開図、壁リスト、断面図、建具表、詳細図、防水範囲図、設備図(電気・空調・給排水・防災)
電気関係 分電盤結線図、電気容量表、照明器具リスト、絶縁測定結果報告書
空調・換気関係 換気計算書、風量測定結果報告書
防火・防炎関係 不燃材料の認定書の写し、防炎物品の認定書、防火区画工事報告書(写真付き)
化学物質関係 シックハウス対策の使用材料一覧、出荷証明書、製品安全データシート(SDS)
保証・届出 防水保証書の写し、消防など官庁届出書類の控え
写真 竣工写真(外観・内観)

ビルによって求められる範囲は異なります。指針書の提出図書一覧で、基本設計・実施設計・竣工の各段階で何が必要かを確認しましょう。

提出期限と形式

指針書で見られる提出ルールの例は次のとおりです。

  • 期限:C工事完了後1か月以内、竣工後1か月までなど
  • 製本:A3サイズ、観音開き製本で3部など。表紙や中表紙に指定のインデックスを貼り、入居者の責任者と設計責任者が押印
  • データ:CADデータ(DWGやDXF)とPDFの両方をCD-R等で提出。Windowsで読めること、Macで作成した場合はファイル名を半角英数字にすることなどの指定も
  • 縮尺と寸法:平面図・天井伏図は1/100または1/200、寸法は通り芯(柱番号)から記入

データ形式の指定は、ビル側が図面を管理システムに取り込むためのものです。設計者に早めに伝えておかないと、変換作業で提出が遅れることがあります。

B工事の竣工図はビル指定業者が作成しますが、テナントの負担で作成し貸主に提出する、と工事区分表で定めているビルもあります。また、A工事の竣工図には反映せず、B工事・C工事の竣工図(現況図)を別に作成する、という整理が一般的です。どの図面を誰が作り、どこに提出するのかを、工事の契約段階で明確にしておきましょう。

完了時にあわせて出す報告書

竣工図とは別に、工事完了の検査前に提出を求められる報告書があります。ある事務所ビルの例では、次の5種類が検査前の提出書類とされていました。

  1. 絶縁測定結果報告書:電灯・動力の回路ごとの絶縁抵抗値、使用容量
  2. 換気風量測定結果報告書:室ごとの必要換気量と実測風量
  3. 防火・防炎認定報告書:使用したクロスや化粧板、カーテン、カーペットの商品名と認定番号
  4. シックハウス対策報告書:部位ごとの材料、等級(F☆☆☆☆など)、施工写真、出荷証明
  5. 防火区画工事報告書:区画の形成や貫通処理の工事写真

これらは施工中の写真や材料の証明書がないと作れません。工事の最初から、施工会社に必要な記録を取ってもらうよう依頼しておきましょう。

鍵・連絡先・取扱説明書も忘れずに

竣工時には、書類以外にも引き渡すものがあります。

  • マスターキー:区画内の扉にテナント独自の鍵を付けた場合、マスターキー1本を防災センターに預けるよう求めるビルがあります。緊急時の進入に使うためです。
  • 緊急連絡先:工事完了後から入居後しばらくの間、施工会社にすぐ連絡がつくよう、緊急連絡先をビルと入居企業に提出させる例があります。
  • 取扱説明書・保証書:照明制御、空調リモコン、電気錠、ブラインドなど、テナント工事で設置した機器の取扱説明書と保証書は、入居企業が受け取り保管します。
  • 保守の連絡先:テナント資産となる設備は、保守点検もテナントの責任です。点検の頻度と業者を確認しておきます。

入居企業が手元に残すべきもの

ビルに提出したものと同じ一式を、入居企業も必ず保管しましょう。特に重要なのは、平面図・天井伏図・設備図のCADデータと、承認済みの工事区分表、B工事の見積書と竣工図です。数年後のレイアウト変更では、これがないと現地調査からやり直すことになります。

また退去時には、「入居時に何を作り、何を変えたか」が原状回復の範囲を決める根拠になります。担当者が異動しても引き継げるよう、社内の共有フォルダや文書管理システムに保存場所を決めておくとよいでしょう。

竣工図書のチェックリスト

  • 指針書で竣工図書の内容・部数・形式・期限を確認した
  • CAD・PDFのデータ形式を設計者に伝えた
  • 測定報告書・認定書・出荷証明・工事写真の準備を施工会社に依頼した
  • 官庁届出書類の控えをビルに提出した
  • マスターキーの預け入れと緊急連絡先の提出を済ませた
  • 取扱説明書・保証書・保守連絡先を受け取った
  • 竣工図書一式を社内の決まった場所に保管した

ビルの工事ルールの確認や、指針書に沿った工事計画・見積のご相談も承ります。

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